実はこのアシストキャッチャー、企業が事業として作ったものではない。専門学校の日本工学院が教育プロジェクトの一環として作り上げたものだ。
主導するのは日本工学院に「Vision Craft」というゼミを持つ元ナムコ社員の小山順一郎さん。ネットワークやセキュリティなどさまざまな技術を学べる教材としてクレーンゲームを選定したところ、実際にゲームセンターでアルバイトしていた学生などから、店員の業務課題解決に関するアイデアが続出し、現在のシステムが出来上がったという。
「学生によれば、接客が大事なのにお客さんに『この景品どうやったら取れるの?』と話しかけられるのが嫌で逃げ回ってしまうアルバイトがいたり、逆にお客さんが店員に話しかけられず帰ってしまうことがあるらしい」(小山さん)
システムは基本的に学生が開発。Live2Dモデルの制作やキャラクターの声優も学生が手掛けている。筐体は学校が購入し、システムを後付けした。
ただし開発にはPictoria(東京都港区)やHEROZ(同)といった、キャラクターやゲームでのAI活用を手掛ける企業が一部協力。例えばカメラやマイクで把握したプライズやプレイヤーの位置、音声情報などを基にアームを制御したり、コンシェルジュを制御したりするシステムは学生が教員と開発し、それらの統合をHEROZが支援している。
また、今回筐体とは別ブースでデモを提供した音声会話・音声認識機能はPictoriaとHEROZ双方が支援。デモの時点ではOpenAIのAIモデルを活用しているという。その他、学生によるコーディングではチャットAIの利用を認めた。
教育プロジェクトの一環で作ったことから事業化などは未定だが、今後コンシェルジュが筐体をまたがってコミュニケーションできるようにする機能や、他社IPコラボなどを実現できればと小山さん。今回のイベントで企業からの声がかかれば、ビジネス展開も検討したいという。
【追記:2025年11月17日午前10時半】システム開発の分担について詳細を明記しました。
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