日本新聞協会は11月27日、政府の「人工知能基本計画骨子」に対する意見書を公表した。報道コンテンツが無許諾で生成AIに利用されている実態があるとし、AI事業者が学習データを開示し、適切な対価を支払うような仕組み作りを、政府に対して求めている。
新聞協会はAI事業者に対し、報道コンテンツを生成AIに利用する場合は許諾を得るよう繰り返し求めてきたが改善は見られず、ユーザーが情報発信源のWebサイトを訪問しない「ゼロクリックサーチ」などの問題は深刻化していると指摘。
その上で、「このままでは、コンテンツから得た収入をさらなる報道活動に投下する再生産サイクルが損なわれ、報道機関の機能が低下し、国民の『知る権利』を阻害する結果となりかねない」と危ぐしている。
このため、学習データの透明性の確保は「極めて重要」とし、「使用されているデータを権利者が特定できるよう、開示を求められるようにすべき」と訴える。
AI事業者によるデータの収集・利用には「権利者から許諾を得て適切な対価還元が担保される仕組みが不可欠」とも提言。AIの政府調達にあたっても、「適切な権利処理を行っている開発業者の製品かどうかを判断基準に盛り込むべき」としている。
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