日立グループのSIerである日立ソリューションズ・クリエイト(東京都品川区)は1月22日、ニワトリの雌雄を卵の状態で判別するAIを開発したと発表した。開発には、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)と九州工業大学が協力。動物福祉(人間が利用する動物の苦痛を低減すること)などにつながるという。
卵を利用するニワトリの生産ではメスのみを育てるため、世界的に年間約66億羽のオスのヒヨコをふ化直後に処分しており、動物福祉の観点から課題となっている。欧州の一部の国では、ふ化までの約21日のふ卵(受精卵を発育に適した環境に置くこと)期間のうち、痛覚が生じる13日目以降の卵の処分を法律で禁じている。
そこで同社は、ふ卵3日目に、卵を傷つけず最高97%の精度で雌雄を判別するAIを開発した。農研機構は、生殖器を形成する前のふ卵2.5日目に、卵の中で雌雄差が生じるという知見を提供。九州工業大は、卵の殻越しに光を当て、内部を撮影した写真のノイズを除去する技術を提供した。これらを活用し、約8万2300枚の写真をAIに学習させて判別精度を高めた。
同社は今後、実際のふ卵場の環境ごとにカスタマイズしたAIモデルの開発を進める。鶏卵を扱う企業とも連携し、今回開発したAI技術の実用化を目指す。
一方欧州では、ふ卵8〜12日目に卵に穴を開けて中の成分を分析し、雌雄を判別する技術が既に一部実用化されているという。日立ソリューションズ・クリエイトらが今回開発したAIには、どのような優位性があるのか。
同社の小澤佳子氏(経営戦略統括本部 事業推進本部 革新領域事業推進室 チーフDXコンサルタント)は「卵を傷つけないため、成長に影響を及ぼすリスクがない」と説明する。より早い段階で雌雄を判別し、オスの卵のふ卵を中止できるため、ふ卵に掛かる費用も削減できるとした。
なお「法律上、ふ卵を開始した卵は食品として使えない」と小澤氏。今回発表したAIの実用化により、処分が見込まれるオスの卵については、殻や中身の成分を食用以外で利用できるか検討する。
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