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Windows 7のデモはMSお得意のまやかしか?(1/2 ページ)

» 2008年05月29日 16時36分 公開
[Joe Wilcox,eWEEK]
eWEEK

 米Microsoftは次世代OSでMac OS Xのまねばかりしている。

 Microsoftは5月27日、米カリフォルニア州カールズバッドで開幕したDカンファレンスで、Windows Vistaの後継版「Windows 7」を初めて一般に公開した。Windows 7には、iPhoneやMacBook Air、新型MacBook ProといったApple製品のユーザーにとってはおなじみのマルチタッチ機能が搭載されている。さらには、Mac OS XのDock風インタフェースまで搭載されるようだ。

 わたしはこのデモを見学し、その記事をMicrosoft Watchに投稿した。第6回目となる今年のDカンファレンスはシンプルに「D6」という名称で呼ばれている。

 わたしの印象に残ったのは次の2点だ。1つはWindowsがますますMacに似てきつつあるという点、そしてもう1つはデモでの実に巧妙なごまかしだ。このデモは、Windows 7を既存のハードウェアで実行した場合のマルチタッチ機能の性能を実際より良く見せる一方で、Windows 7で必要となるグラフィックス処理能力の要件を実際より少なく見せようとするものだった。

 Windows 7のデモは恐らくオープニングセッションのハイライトになったと言えるだろう。このセッションには、Microsoftのビル・ゲイツ会長とスティーブ・バルマーCEOが参加した。昨年のDカンファレンス「D5」では、もう1人のスティーブ、つまりAppleのスティーブ・ジョブズCEOがセッションに参加し、ゲイツ氏、そしてカンファレンスのオーガナイザーであるカーラ・スウィッシャー氏とウォルト・モスバーグ氏とともにパネルディスカッションが行われた。ジョブズ氏は今年のセッションには参加しなかった。恐らく、6月9日〜13日に開催予定の年次開発者会議であるWorldwide Developers Conference(WWDC)に向けて準備中なのだろう。

マルチタッチ機能

 複数の指を使って画面を操作するMicrosoftのマルチタッチ式のユーザーインタフェース(UI)は、Windows Vistaを搭載する同社のばかでかいテーブル型PC「Surface Computing」から多くの要素を引き継いでいる。だがこのUIはiPhoneやiPod touchとも驚くほどよく似ており、マルチタッチパッド付きの最近のノート型Macに搭載されているMac OS Xで提供されている機能ともよく似ている。

 Microsoftは昨年のD5でSurface Computingを披露した。それはAppleがiPhoneをリリースする数週間前のことだったが、ジョブズ氏はその約半年前には既にiPhoneのマルチタッチ機能を披露していた。模倣が称賛の表れだとすれば、UIのデザインという点で、MicrosoftはAppleに褒め言葉を雨あられと注いでいることになる。

 今回マルチタッチ機能のデモを行ったのは、MicrosoftのWindows Experience Program Management担当副社長ジュリー・ラーソン−グリーン氏だ。同氏はOffice 2007のUIの開発を統括した人物で、Microsoftにとっては希望の星らしい。だがわたしはここで次の点を付け加えておかずにはいられない。それは、Office 2007で追加された各種の新機能がOffice 2008ではUIを大きく変えることなくはるかに上手に組み込まれているという点だ。

 ラーソン−グリーン氏はDellのLatitude XTを使ってWindows 7のデモ(ビデオはこちら)を行い、Latitude XTについては「今現在普通に入手できるマシン」だと説明した。MicrosoftはVistaのリリースに際し、Windows XPと比べてハードウェア要件を一気に高めたとして厳しい批判を受けた。そこで今回は「Windows 7はWindows Vistaとハードウェア要件が同じ」という点を売りにマーケティング戦略を展開しようというわけなのだろう。実際、ラーソン−グリーン氏は「既にLatitude XTを持っているのであれば誰でもWindows 7を実行してマルチタッチ機能を利用できる」という点を力説していた。わたしはMicrosoftが恐らく2009年の年末商戦期に向けてWindows 7を出荷するものと予想している。

 そうは言っても、マルチタッチ機能を実行するには、ほとんどのPCで少なくともディスプレイのアップグレードが必要となるだろう。「デジタイザは用意する必要がある」とラーソン−グリーン氏は説明している。Latitude XTはデジタイザを装備している。

 さらに同氏はデモを進めながら、「マルチタッチ機能では画面上の操作が非常に自然で、マウスを使うよりもはるかに素早く操作を実行できる」と説明した。ただし同氏は引き続きマウスも必要だと強調している。

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