成功前から「私はビッグ」で行動セルフイメージで人生を変える(2/2 ページ)

» 2008年12月08日 16時00分 公開
[平本あきお(構成:房野麻子),ITmedia]
前のページへ 1|2       

「離婚しない方がいい」――イメージが人生のブレーキになることも

 しかし、何をしたいのか分からず、充実していない人もいるでしょう。給料はもらっているけれど、楽しいかといえば楽しくはない。でも、問題があるわけではない。この状態は「ゼロ」です。メンタルの問題があるわけではないけれど、充実しているわけでもないんですね。

 そして、少なからぬ人は心のブレーキがかかっている場合があります。例えば、確かに別れた方が、子供のためにも私のためにもいいし、経済的な余裕はないけれど暮らしていける見通しは立つ。

 にもかかわらず離婚に踏み切らない場合は、何かブレーキがあるということです。「もう耐え切れない。でもこの子が高校を出るまでは踏みとどまった方がいい」という状況になっているのも、「離婚後にどう生活すればいいか分かっているのに、離婚できない」というのも、ブレーキがかかっているのです。このブレーキこそが、セルフイメージ、信念、価値観かもしれないのです。

 実は、この3要素はブレーキになるだけではなく、うまく一致するとハイパフォーマンスを発揮します。ブレーキからハイパフォーマンスまで、メンタルの全段階において深くかかわっているのです。

まず「私は○○だ」「私は△△ではない」とイメージ、行動を変える

 では、ここからは人間を形成しているセルフイメージ、信念、価値観について1つずつ実践していきましょう。

 セルフイメージは、「私は○○である」「私はではない」というフレーズで言い表します。この○○やに単語や文章を入れて、フレーズを考えてみてください。

実践1:「私は○○である」「私は△△ではない」

平本 「私が○○である」というのを考えて出してみてください。例えば「私は女である」「私はライターである」とかを10個ほど。

房野 「女である」「妻である」「フリーランスライターである」「北海道出身である」「元スケート選手である」「お酒が好きである」……後は何だろう。意外と出てきませんね。

平本 まあ、そんな感じですね。逆に「私は△△でない」はどうですか?

房野 えーっと、「男ではない」「アメリカ人ではない」「宇宙人じゃない」(笑)「イスラム教徒じゃない」……難しいですね。

平本 「総理大臣じゃない」とか「社長じゃない」とか。

房野 あ、はい。そうですね、「会社員じゃない」「お母さんじゃない」。

平本 「主婦である」か「主婦じゃない」ならどっちですか?

房野 うーん、「主婦ではない」です。

平本 ライターをしながら「主婦である」というセルフイメージを持つ人もいますし、「ライターで主婦じゃない」というイメージを持つ人もいる。これはいい悪いじゃなくて、それでだいぶ動き方が変わります。「主婦である、そして作家である」という人は、おそらく家事中心の動き方をするでしょう。ところが「主婦ではない」というセルフイメージを持っている人は、家事よりも書くことを優先させる可能性が高いです。それに関してダンナさんは、「いいんじゃない」という人もいれば、「何やってるんだよ、家のことをちゃんとしろよ」という人もいる。ダンナさんが「女はとにかく主婦業を優先しないとダメだ」という人で、妻が「私は主婦じゃない」というセルフイメージを持つとトラブルになります。


 セルフイメージの悪い例では、過去に売れっ子だった音楽家がいます。

 その人はまだ売れる前の20歳くらいの時、「私はビッグだ」というセルフイメージを持っていたので、友達の家に行った帰りに、手元にお金がないのに「私はタクシーしか乗らないから」みたいなことを言ってタクシーを呼んで帰ったそうです。

 そういうセルフイメージがあって大成功したので、それはそれでよかった。ところが、ピーク時に比べて収入が落ちてもそのセルフイメージを変えられなかったから、生活レベルを下げられずとうとう窮地に陥ってしまったそうです。セルフイメージが足を引っ張ってしまったという例ですね。


 次回は実践2などを通して、セルフイメージの効果的な使い方を解説していきます。

ks_hiramotobook.gif

ピークパフォーマンス 代表取締役

平本あきお(ひらもと あきお)

 1965年神戸生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(専門は臨床心理)。アドラースクール・オブ・プロフェッショナルサイコロジー(シカゴ/米国)カウンセリング心理学修士課程修了。人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化。人生を大きく変えるインパクトを持つとして、アスリート、アーチスト、エグゼクティブ、ビジネスパーソン、学生など幅広い層から圧倒的な支持を集めている。最新著書は、『すぐやる! すぐやめる!技術 ― 「先延ばし」と「プチ挫折」を100%撃退するメンタルトレーニング』。コミュニケーションやピークパフォーマンスに関するセミナーはこちらから。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ