「人は助けてくれる」「人は裏切る」のイメージはなぜ現実に?セルフイメージで人生を変える(2/2 ページ)

» 2008年12月09日 12時30分 公開
[平本あきお(構成:房野麻子),ITmedia]
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「ほらやっぱり」 信念通りの要素を探すから“実現”する

 信念を定義すると、「物事の意味づけや関連性に関して、何の疑いもなく当たり前だと思い込んでいること」となります。実は信念とセルフイメージは近いです。信念は広く世の中の物事に対するもので、セルフイメージは自分に対する信念ということになります。

 例えば「最後は必ずうまくいく」「必ず誰かが助けてくれる」「苦難を乗り越えたら幸せが待っている」「棚からぼた餅」「私はツイている」「いつも感謝で溢れている」「悪い人は世の中にいない」という信念を持っていたらどうなるでしょうか。幸せですよね。物事もうまくいきます。

 逆に「最後には必ず落とし穴がある」「人は裏切るものだ」「私はツイてない」「いつも景気に振り回される」「部下や社員は付いてこない」「世の中はロクなもんじゃない」という信念を持っていたらどうなるでしょうか。不幸ですね。

 たとえいい人材が自分の部署に来ても「ロクなヤツしか来ない」という信念を持っているので、よくないところを探してしまうのです。すると「ほらみろ、ほらみろ(やっぱりロクでもない)」となる。

 これは心理学用語でセルフ・フルフィリング・プロフェシー(自己成就予言)とでもいいましょうか。そう思えば思うほど、それを強化する要素を探して実現してしまうことをいいます。これはよく夫婦間でも見られます。「この人は冷たい」と思うと、優しくされても気づかない。逆に「ほら、そこが冷たい。ほら、冷たい」と、冷たいところばかり指摘して、ますます冷たい部分が増えてきます。

 信念には世界観に関するものと、ルールに関するものがあります。実際に口に出してやってみましょう。まず世界観から。

実践2:「○○は□□である」

平本 世界観は「○○は□□である」というフレーズで表します。例えば「人は○○である」というフレーズを出してみてください。「人は温かい」とか。

房野 「人は1人では生きていけない」

スタッフ原 「人は優しい」

房野 「人は働く」

平本 「人は生きる意味を探している」とか。ほかには?

スタッフ原 「人は涙を流さずにいられない」

平本 「人は働かないと食べていけない」とかもありますね。「人は働かないと食べていけない」という信念の人はどうなるでしょうか。その人はリタイアできません。なぜなら信念がそうだから。「働いていない自分は食べてはいけない」と思ってしまうんです。働いている時期はいいんですけどね。このように知らず知らずのうちに自己を形成しているんですよ。怖いでしょう。男はこうあるべきだ、というのもありますね。「女は」どうですか? 「怖い」とか「優しい」とか「不思議だ」とか「分からない」とか。

房野 女は……なんだろうな。「結構ずるい」とか(笑)。

平本 男は?

スタッフ原 「男は優しくあるべきだ」

平本 そうなってくると、優しくないことやキツイことを言っちゃったら、男としてマズイと思うはずです。なぜなら「男は優しくあるべきだ」という信念があるからです。ほかには?

房野 なんだろう……最近はあまり性別で考えたことがないので思いつきません。

平本 ということは、そこにあまり信念がないという証拠なんですね。


日本では「分かんな〜い」女性像が求められている!?

 ちなみに韓国では「男は強くなければいけない」という国民的な風潮があります。だから気の弱い人でも強がるんですね。日本人からすると、そんなに強がらなくていいのでは、と思うんですが。

 一方、日本人女性の中には「女の子はかわいくなきゃ」とか「女の子はしっかりしすぎちゃダメ」とか「女の子がリーダーシップを発揮しちゃダメ」という雰囲気があるんです。テキパキ仕切るような女子は敬遠される。反対に「これ何? えー、分かんな〜い」というような女性もいて、同じ女性から見ると腹が立つけど、一般的には「分かんな〜い」の方が、リーダーシップを発揮するよりずっと受け入れられる。もちろんこれは一般論ですよ。

 けれど、私も感じたんですが、数年米国で生活して日本に戻ってくると、「分かんな〜い」女性が多いんですね。「この子達、おバカキャラか?」と思いました。でも実際、彼女達自身も自覚しているけれど、こういう立ち振る舞いを要求されるんです。なぜなら、それが一般的な信念だからですね。米国では、逆に「バカじゃん」と思われます。

 このように信念には国柄のものもあります。


 次回も引き続き信念について解説していきます。

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ピークパフォーマンス 代表取締役

平本あきお(ひらもと あきお)

 1965年神戸生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(専門は臨床心理)。アドラースクール・オブ・プロフェッショナルサイコロジー(シカゴ/米国)カウンセリング心理学修士課程修了。人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化。人生を大きく変えるインパクトを持つとして、アスリート、アーチスト、エグゼクティブ、ビジネスパーソン、学生など幅広い層から圧倒的な支持を集めている。最新著書は、『すぐやる! すぐやめる!技術 ― 「先延ばし」と「プチ挫折」を100%撃退するメンタルトレーニング』。コミュニケーションやピークパフォーマンスに関するセミナーはこちらから。


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