「役職名」と「名前」、そして「様」は同じ行に入るセットだ。
まず「役職名」は、基本的には「名前」の上の位置に書き、3文字程度なら1行に収めるのがベストだ。
ただ最近は、役職を兼務していたり長い役職名も多い。「第一グループ長」など5文字以上なら、「会社名」と「名前」に挿入し、同じ行に書いた「部署名」の下に1文字下げて書こう。
また、「代表取締役社長」「代表取締役専務」などの場合は「名前」の上に2行に分けて書く。「代表取締役」を1行目に、「社長」「専務」を2行目にし、「社長」「専務」は「代表取締役」の天地に合わせ、均等割り付けをしよう。
読み手にとって最も重要な「名前」は、中央に大きく書くこと。文字サイズの幅は、2つの郵便番号の幅から少しはみ出るくらいでいい。書き始めの位置は「郵便番号1ケタ目と2ケタ目の中間」の下から。半字〜1文字分ほど空けてから書くと見栄えがよくなる。「役職名」が付く場合は役職名もこの位置から書こう。
ここで気を付けたいのは、苗字と名前の間をやや空けて字配りすることだ。ただ「様」まで均等割り付けする必要はない。「様」はスペースの一番下の位置にどっしりと書き入れる。名前の最終文字との間に大きくスペースが空いても大丈夫だ。
「様」でもう1つ重要なのは、最も大事なはずの「名前」より大きく、全項目中最大サイズで書くことだ。なぜだろう?
高宮先生は「全体が締まり、安定感が出るから」と説明する。確かに上の3枚の練習書きを見比べてみると、「様」を一番下に大きく書くと、アクセント効果で全体のメリハリが付き、かつ堂々とした印象になった。さらに「様」の文字を書く時は、「木」の1角目の横棒をやや右肩上がりにし、最後の4画の点は4つの点の中心を集めるとバランスがよくなるという。
また、団体の中で書面を受け取るべき相手が分からない場合に用いる「御中」はどの位置に書いているだろう?
「様」のように名前の真下に書いている人が大半なのではないだろうか。実はマナー上最も正しいとされているのは、御中を1行後にずらす書き方だ。この時「1行目の最後の文字」と「御」が横並びになるよう「御中」と書く。また文字サイズは、2文字合わせてちょうど「様」と同サイズになるのがベストだ。
なお、差出人欄も同様に、「差出人の名前」が100%として、「差出人の住所」と「差出人の会社名」が80%程度、「差出人の部署名」が50%という黄金比率になる。この時、「差出人住所」「差出人会社名」「差出人名」の行幅は均等にすること。
こんなふうに宛名書きには多くの決まりごとがある。筆者の場合、最初のうちは「何パーセント……」と神経質に唱えながら書いていたのだが、それよりも「大きさは大中小、くらいの感覚で大丈夫です。最も大事なのは、位置感覚を自然に身に付けること」だという。
いかがでしたか? これで3回にわたって開講してきた集中講座もおしまい。前2回までをおさらいすると――。
また、今回の講座をまとめると――。
(1)住所 80%
最初の1文字目を慎重に/字配りは不要/市区町村は平たくつぶす/ビル名は50%
(2)会社名 80%
やや大きめに。
(3)部署名 50%
書き位置は2カ所から選ぶ
(4)役職名 50%
なるべく1行以内に/ムリなら2行で均等割り付け
(5)名前 100%
中央に大きく堂々と/「様」より小さく/1文字分空けてから書き始める/苗字と名前の間は字配りを
(6)様 110%
「名前」より大きく/一番下の位置にどっしり書く/払いも堂々と
となります。さっそくキレイな字で年賀状やお年玉用ぽち袋に手書き文字を書けば、新年早々から「字がキレイ」と相手に言われるかもしれません。Let's Try!
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