欧米でベストセラーになった『Zen and Japanese Culture』を和訳したのが本著『禅と日本文化』だ。禅と日本文化の入門書になっていて、一粒で二度おいしい。ビジネスで侍になるためにも一読の価値ありだ。
鈴木大拙(すずき・だいせつ)は、禅を世界に広めた功績者。欧米でベストセラーになったのが『Zen and Japanese Culture』であり、それを和訳したのが本著『禅と日本文化』だ。禅と日本文化の入門書になっていて、一粒で二度おいしい。
禅とは何か。無理を承知で言葉にすれば、無心+シンプル+実感、になる。剣道や武士道においては、知識はもとより知恵すらも使わず、ただ心を無にすることで、敵を丸呑みする。
茶道では、極限まで要素をシンプルにすることで、一輪の花を際立たせる。そうしたシンプルさを持ち込むことで、儒教は思想として息を吹き返し、日本文化に根付いた。俳句では、概念的・論理的であることをやめ、実感を込めることを重視する。
頭で考えて積み上げる視点と真逆のアプローチが禅であり、禅こそが日本の個性を際立たせているのだ。
欧米の知識人は、鈴木大拙らを通じて禅および日本に関心を持っている。下手に西洋ロジックに合わせることはない。イチローや中田がサムライと呼ばれるように、ビジネスでも禅と日本を意識して臨むのも一手だ。そのためにも、まずは大拙を読みたい。
RCF代表取締役。一橋大学卒業後、バー経営、マッキンゼーを経て独立。「100年続く事業を創る」をテーマに講演・コンサルティング活動に従事。創業前の若者に1億円投資するスキームを企画運営し、話題を呼ぶ。「雇われ経営参謀」として500人以上の経営・企業相談を受けてきた。ブログに毎日書評を掲載し、現在900冊超。
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