電子書籍の黒船襲来! 全世界2000万部のベストセラー全文無料公開の衝撃今こそ読みたい『7つの習慣』

全世界で2000万部以上も売れ続けているベストセラー『7つの習慣』が期間限定で無料公開。ビジネス書で世界最大級の既刊ベストセラー「全文公開」は世界にも例を見ない。

» 2010年08月20日 17時37分 公開
[藤井一(週刊ダイヤモンド副編集長),ダイヤモンド・オンライン]

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『7つの習慣』無料公開サイト

 全世界で2000万部以上も売れ続けているベストセラー『7つの習慣 成功には原則があった!』(スティーブン・R・コヴィー著)がWebサイトを通じて期間限定で無料公開されることになった。『FREE』(クリス・アンダーソン著)のように、新刊書籍の発売前に電子版をネットで無料配信するプロモーション手法は一般化しつつあるが、ビジネス書で世界最大級の既刊ベストセラー「全文公開」は世界にも例を見ない。

 昨年、著者のスティーブン・R・コヴィー氏は、『7つの習慣』のデジタル出版権を大手出版社サイモン&シェスターから引き上げ、Amazon.comのKindle Storeに移したことで話題となった。『7つの習慣』が出版されたのは1989年。このころは電子書籍の出版がほとんど想定されていなかったため、出版社と著者の間で「デジタル化」に関する契約が取り交わされていない。したがって、大手出版社のドル箱である既刊ベストセラーの電子書籍化にあたっては、著者判断により他社に移ることがありうる。

 紙の本の著者印税は日本では概ね10%程度だが、Amazonやアップルを通じた電子書籍では60〜80%(ただし、著者とAmazon、アップルの間を仲介する“エージェント”の取り分を含む)。したがって、ベストセラー著者にとっては電子書籍化の魅力は大きいし、それが大手出版社にとっては脅威ともなりうる。米国では『7つの習慣』を巡る騒動は「電子書籍のコヴィー問題」として注目された経緯がある。

 米国では、すでに電子書籍が「紙の本」を凌駕しつつある。Amazonの発表によれば、今年4〜6月でハードカバー、Kindle Store(電子書籍)における販売数は、ハードカバー100冊に対して電子書籍180冊。8月末にはコンパクトで安価な新キンドル(電子書籍リーダー)が登場することもあり、電子書籍化の勢いは当面止まりそうにない。

 Kindle Storeは日本語書籍に対応していないが、新Kindleでは日本語フォントが閲覧可能となる。アマゾンジャパン(Amazon.co.jp)と日本の大手出版社の間で電子書籍化に関する水面下の交渉も進んでいるとみられ、また電子書籍のプラットフォームでAmazonとしのぎを削るアップルやグーグルも世界第2位の出版大国である日本を虎視眈々と狙っている。2010年が日本においても「電子書籍元年」となるのは間違いない。

 「コヴィー問題」で物議をかもした『7つの習慣』が、このタイミングで無料公開されれば、日本の電子書籍のあり方にも一石を投じることになろう。『7つの習慣』には、人種、年齢、性別を超えた「成功の原則」が書かれており、熱狂的な固定ファンが多い。今回の無料公開をきっかけにして、「紙の本」を再読したいという動きも出てきそうだ。

 無料公開は8月20日(金)〜29日(日)。プロローグ、第1〜第7の習慣まで8つのコンテンツを原則として2日ずつ日替わりで公開する。閲覧にはFlashプレーヤーが必要で、ファイルのダウンロードはできない。無料閲覧にあたってはメールアドレス登録が必要となる。なお、8月30日(月)には週刊ダイヤモンド「7つの習慣」特集が発売される予定。今回の全文無料公開は、週刊誌の新たなプロモーション手法としても話題を呼ぶことになりそうだ。

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