今回のテーマは粗利。粗利は売り上げから商品原価(変動費)を引いたもので、売り上げから原価を除いたものが粗利益です。粗利益を高める構造を、マクドナルドを例に解説してみたいと思います。
ここ何度か、会計の基本をおさらいしています。今回は粗利のお話について。粗利は売り上げから商品原価を引いたものです。商品原価は、材料など商品を販売するたびに掛かるコストで変動費とも呼ばれます。売り上げから原価を除いたものが粗利益となります。以下、粗利益を高める構造を、かのマクドナルドを例に解説してみたいと思います。
原価というのは、業態によって異なります。何かを仕入れて販売するビジネスであれば、仕入れが商品原価です。自分で何かを作って販売するのであれば、製造原価(部品代や組み立て工賃)が原価になります。そして、売り上げから原価を引いたのが粗利益になります。
粗利益は利益そのものではありません。なぜなら、家賃などの固定費、人件費、商品の広告宣伝費などが掛かるからです。実際の営業利益は、粗利益からさらにこれらの販売管理費を除いたものになります。
しかし、ビジネスを考える上で粗利は高いにこしたことはありません。今回は、粗利を高める工夫について話したいと思います。
2011年2月に、中国からマクドナルドの原価表が流出したことがインターネットなどで話題になりました。今回はそれを参考に以下の表を作ってみました(※)。なお販売価格について、マクドナルドは地域によって価格を変えていますので、平均的なものとしてとらえてください。
原価がゼロのものがありますが、これはコカ・コーラが原液をマクドナルドに無償で提供しているからだそうです(もし、これがデマだとしても原価は数円ですが……)。
前述の通り、売り上げから原価を除いたものが粗利益です。粗利益が売り上げに占める割合が粗利率です。これらを見える化したものが、以下のグラフになります。グリーンの部分が粗利、折れ線グラフが粗利率。それにしても、飲み物とフライドポテトの低い原価が際立ちます。
ところで、皆さんはマクドナルドで単品を頼みますか? 多くの人は、ポテトと飲み物のセットを頼むと思います。例えばビッグマックは単品320円ですが、セットにすると650円。確かに、全て単品で頼むよりは若干安いかもしれません。しかし、しかし、この原価です。
(セット商品を購入するとき)「あと40円プラスでフライドポテトをMサイズにできます!」
笑顔でこう言われると、まあ40円の差額なら……と思いますが、原価としては5円しか高くならないわけで「セット」「サイズアップ」は全てものすごく粗利率を押し上げているのです。
上記は、ハンバーガ単品で頼んだ場合と、セットで頼んだ場合の粗利シミュレーションです。多くの場合、セットにすることで粗利が10%以上改善しています。あの笑顔の奥に、こうしたハンパない企業の粗利改善の秘密があったわけです。
ちなみに僕はコカ・コーラが大好きです。コカ・コーラはSサイズが100円ですが、Mサイズが200円だったりします。原価を知ると、ちょっとオーダーしづらいですね。蛇足ですが、一番原価率が高くなるのは、チーズバーガーを単品で頼むケースです。まあ、そんな人いないでしょうが……。
パワポの前に「図」で考える――。ベストセラー『頭がよくなる「図解思考」の技術』の第2弾となる本書は、プレゼンテーションの根幹とも言える「メッセージをどう作り、どのように伝えるのか」を図で整理する方法を解説しています。
「見栄えのいいスライドを作ること」や「説得力のある話し方をすること」も当然大事ですが、プレゼンの目的(メッセージ)そのものが洗練されていなくては、聞き手の心には届かないからです。営業プレゼンテーションや講演に限らず、ちょっとした説明や商談、または報告などにも応用可能で、あらゆるビジネスシーンで活躍するはずです。
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
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