Mozillaは、Android向けブラウザ「Firefox」の最新版を公開した。UIを刷新し、Flash対応、PC版との同期を実現。ページ閲覧時の表示速度を従来比2〜3倍に高速化した。
Mozilla Foundationは6月26日、Android向けブラウザ「Firefox」の最新版を公開した。Android 2.2以上に対応し、料金は無料。
Android版のFirefoxは、2010年4月のβ版公開を経て、2011年3月に正式リリースした。今回のアップデートでは、ユーザーインタフェース(UI)の刷新とFlash対応、PC版との同期を実現。加えて、ページ閲覧時の表示速度を従来比2〜3倍に高速化するなど、パフォーマンスを向上している。
インタフェース面では、ユーザーが親指1つでタブの切り替えや新規ページを開く動作ができるよう、操作系のアクションを画面右上に集中した。右上の「+」ボタン(※)を押すと、上部に検索バーを表示し、その下には閲覧履歴やブックマークを表示する。また起動時のスタートページには、よく見るページのリストが出すなど、ユーザーがより少ない操作で見たいページにたどり着けるようにした。
(※)複数のタブを開いている場合には「+」がタブ数となる
機能面では、ユーザーから要望が高かったというAdobe Flash Playerプラグインに対応し、Flashベースのコンテンツを表示できるようにした。PCとの同期は「Firefox Sync」と呼ぶ無料サービスのアカウント登録することで実現する。スマートフォンの画面からアカウントを入力することで、閲覧履歴や保存しているパスワード、ブックマーク、開いているタブ、フォームの入力履歴をPCとスマートフォンのFirefox環境で自動同期できる。
最新版の注目ポイントの1つが、パフォーマンスの向上だ。「正式版リリース後、ユーザーフィードバックの中で多かった要望がFlashサポートと起動時間の短縮化だった。そこでAndroid版Firefoxは、コードを設計段階から根本的に再開発をした。ユーザーのプライバシーを第一に考えてPC版にもあるパスワード暗号化などのセキュリティ機能を搭載した。動作についてはこれまで1つのスレッドで行っていたものをマルチスレッド化することで起動時間や応答時間を速くした」(Mozilla Japanテクニカルマーケティングの浅井智也さん)
Mozillaが行ったベンチマークテストによると、JavaScriptでブラウザに図を描く「HTML5 Canvas」利用時の動作速度が従来比約3倍。Androidの標準ブラウザと比較しても3倍速かった。Webページの画面スクロールでも、従来比約2倍、標準ブラウザとの比較では約1.5倍高速だった。
その他、これまでと同様に画面をPDFで保存できる機能や、Firefoxの特徴であるアドオン機能などは引き続き搭載している。HTML5に標準対応しているので、開発したWebアプリケーションをFirefox上で動作することも可能だ。
Mozillaでは今後のロードマップとして、ページ内のテキストだけを自動抽出して表示する機能や、独自のWebアプリマーケットをオープンする展開などを予定しているという。
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