“インディーズ手帳”だった「ジブン手帳」をコクヨが発売するようになったわけ手帳2013(2/2 ページ)

» 2012年08月10日 13時55分 公開
[舘神龍彦,Business Media 誠]
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外部商品を扱わないコクヨから異例の発売

 今回の最大のポイントは、ビジネスマン用手帳としてはインディーズ系とも言えるジブン手帳がコクヨS&Tから発売になったことだろう。これは同社としては異例のことだ。

きっかけはキャンパスノート

 もともとコクヨは、デザインアワードなどの公募形式を除いて外部の提案商品を採用した例はない。第三者が開発したものがそのまま商品ラインアップに加わることはないのだ。

 きっかけは、2011年に行ったキャンパスノートのリニューアルだった。プロモーションを依頼した広告代理店の担当者が、佐久間氏だったのだ。コクヨ側はそのときに佐久間氏が制作しているジブン手帳の存在を知り、そのコンセプトが同社の「ライフイベントサポート商品」の事業領域に近いという認識を持ったという。

 ライフイベントサポート商品とは、コクヨが発売している「遺言書キット」や「もしものときに役立つノート(エンディングノート)」「おつきあいノート」など、コクヨでは、“人が幸せな人生を実現していくためのサポート商材”と位置付けている。「やっておいた方がいいことを書いて整理する機会、きっかけを提供し、利用者がもっと幸せな人生を実現していくための、はじめの一歩をサポートする」という考えのもと、開発している。

 「ジブン手帳も、1年のスケジュールをただ管理するダイアリーではなく、自分の人生の記録を書きつづるライフログダイアリー。コクヨの事業の方向性にぴったりだと感じた」(コクヨ広報)

 コクヨには、オリジナルブランド「trystrams(トライストラムス)」から「LIFEHACK PLANNER」などのダイアリーがある。ただ、ジブン手帳は、ダイアリーというよりは、ライフイベントサポート商品の事業に広がりを持たせるアイテムという位置付けだという。

テストマーケティングを経て商品化

 ジブン手帳をコクヨの製品ラインアップに加えるには、その商品力とポテンシャルを把握する必要があった。そこでテストマーケティングをかねて、2011年11月から2012年版を販売することになった。一般消費者が購入できるのはコクヨのオンラインショップ「SHOWCASE」とグループ企業のカウネットが運営するオンラインショップ「カウモール」に限定した。

 この反響は非常によいもので、製品化を進める1つの要因になった。また、Facebook上にジブン手帳のコミュニティーがあり、こだわりを持ったユーザーが多く存在していることが分かった。それらユーザーの意見を取り込みつつ、商品製作をしたいと考えたことも動機の1つだという。上述の2013年版の改善点はコミュニティーに挙がった意見を取り入れている。

ジブン手帳の製品ラインアップ

ジブン手帳はライフイベントをサポートする

 筆者は以前、佐久間氏にユーザーからの要望をどの程度組み取るのか聞いたことがある。その際の答えは「いくら要望があっても、自分が考える必然性がなければ取り入れない」とのことだった。

 その必然性の1つは、コクヨ製品のコンセプトである「ライフイベントサポート」なのだろう。インディーズ的な出自を持ちながらも、登場からわずか2年の間に多数のユーザーを獲得。ついに文具メーカーの製品ラインアップに加わったジブン手帳の今後に興味は尽きない。

著者紹介:舘神龍彦(たてがみ・たつひこ)

 手帳評論家。最新刊『使える!手帳術』(日本経済新聞出版社)が好評発売中。『手帳カスタマイズ術』(ダイヤモンド社)は台湾での翻訳出版が決定している。その他の主な著書に『手帳進化論』(PHP研究所)『くらべて選ぶ手帳の図鑑』(えい出版社)『システム手帳新入門!』(岩波書店)『システム手帳の極意』(技術評論社)『パソコンでムダに忙しくならない50の方法』(岩波書店)などがある。誠Biz.IDの連載記事「手帳201x」「文具書評」の一部を再編集した電子書籍「文具を読む・文具本を読む 老舗ブランド編」を発売


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