I-ROI、ネットやソーシャルメディアのリテラシー育成を目的として資格制度を策定

インターネットコンテンツ審査監視機構(I-ROI)は、学生や社会人を対象とした資格制度「デジタルコンテンツアセッサ(DCA)」を発表した。社会人大学や指定企業が実施するeラーニングを受講して取得できる。

» 2013年03月28日 17時40分 公開
[Business Media 誠]
「デジタルコンテンツアセッサ(DCA)」のロゴマーク

 インターネットコンテンツ審査監視機構(I-ROI)は3月28日、学生や社会人を対象とした資格制度「デジタルコンテンツアセッサ(DCA)」を発表した。

 DCAは、デジタルコンテンツの発信側/受信側の双方が最低限のモラルや知識を付けることで、インターネットの社会的な信頼回復を目的とした資格制度。スマートフォンの普及やソーシャルネットワーク(SNS)を用いたコミュニケーションの活性化などを受け、ネット上のトラブルを予防することを目的としている。

 I-ROIの白鳥令代表理事はDCA策定について「今までインターネットの世界は技術的な信頼性についてはさまざまな議論がされてきた。青少年に害があるアダルトコンテンツをどう規制するかなど、青少年インターネット利用環境整備法を定めた動きもそうだ。しかしインターネット全体の信頼性についてはほとんど議題に挙がっていない。DCAでは大学の受講科目に資格取得のルートを組み込んだり、社会人がeラーニングを使って資格を習得できる環境を提供したりすることで、インターネットの信頼性を確保してきたい」と話す。

3段階の資格を用意

 具体的にはどのような資格内容になるのか。I-ROIでは以下の図に示した3つのドメイン領域を基にカリキュラムを設定し、その理解レベルの応じて3級数を設定している。



 級数の目安は、3級がデジタルコンテンツを扱う一般の社会人や小中学校の教員、自治体の公務員などを想定している。2級は青少年インターネット利用環境整備法で示すところの特定サーバ管理者レベル。つまりデジタルコンテンツを発信する団体などでサーバ管理者をしている人に当たる。1級はICTの専門的知識を要するコンサルティングやインストラクターだ。

DCA資格を取得するには?

 DCA取得のルートは、現時点3つある。1つは、I-ROIが認定した教育機関で指定の単位を修得すること。2つ目は電通などの関連企業が運営するeラーニングを受講し、テストの合格すること。そして、3つ目がI-ROIの加盟企業となり、指定の研修を受けること。この3つのルートいずれかを通過し、最終的にI-ROIに資格認定を申請、合格すれば認定証が発行される。

 認定までに発生する費用は、学費や受講料に加えて、共通の認定料が6000円となる。

労働市場のミスマッチ問題解決も視野に

 DCAが実際に動き始めるのは、4月以降。連携を表明している青山学院大学(社学連携機構ヒューマン・イノベーション研究センター)、埼玉工業大学(工学部)、千葉商科大学、東北福祉大学、東京工科大学ではDCA3級の認定プログラムに沿った講義や実習を行う予定だ。他大学、高校も参加を表明しており、順次認定大学が増えていく予定。

 各大学は事前にシラバスをI-ROIに送付し、審査を受ける。上記3つのドメイン領域に沿うかで判断が下る仕組みだ。よって、各大学で受けるプログラム内容に差異はない。このことから白鳥理事は、DCAが果たすもう1つの役割として「大学教育の質的な標準化」にも貢献したいと話す。また必要なカリキュラムを明確化することで、労働市場でのミスマッチ――つまり、学部卒の学生が入社数年でICT業界を離れるという事態を防ぐことにもつながればとしている。「DCAを通じてICT、インターネットの基礎知識を付けることで、学生は自分の進路に向かって何が働きがいのあるものかを見けられる機会になれば」(白鳥理事)

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