仕事でもスポーツでもそうですが、ふと周囲を見渡したときに、なんだか「ダラダラと適当にやっている人」しかいなかったらどうでしょう。
いくら頑張れる人でも何となくその緩い空気に流されてしまったり、モチベーションが下がったりしてしまいそうです。
UP OR OUT(バリューを出し続けるか、出て行くか)という、新入社員には「えっ」と思うような空気に満ちていたマッキンゼーですが、私のような勢いで入社してしまったような人間でもやっていけたのは、「自分に厳しい人たち」が集まった環境だったからでしょう。
いい仕事がしたい。いいアウトプットを出したい。そして、もっと上質の仕事がしたい。そんなふうに常に高いバリューを探究する人たちに囲まれている中で、自然に私も「同じように付いていきたい!」と思っていたのです。
そもそも、マッキンゼーはそういう環境に放り込んでも大丈夫な人間だけを採用しているとも言えます。優秀さだけではなく、自分で自分をショーケースできるような、何か「持っている人」ということでしょうか。
あの大前研一さんも、日立の原子力エンジニアから畑違いのマッキンゼー(当時、開設されたばかりの東京事務所)に転職したときに、延べ8人の面接官から、ほとんど「判定不能」の評価を受け、ただ1人「◎」があったことで採用されたのだということを聞きました。
逆に言えば、普通に「○」が並んでいるような優秀な人よりも、他の人にはない「◎」があるような華のある人が採用されていたように思います。優秀かつ、何か華のあるチャーミングな人というのが「マッキンゼーらしい人」のようです。
そしてさらに共通しているのが、ほとんどの人が「何か自分でやってみたい」と思っていること。定年までマッキンゼーで働きたいという人なんて、限りなくゼロに近かったように思います。
むしろ、そんな人のほうがマッキンゼーでは「変人」だったかも……。
常に上を目指して、仕事で確実に成果を出す。そのために、どんな状況でも戦える仕事の武器と戦術を新人時代からたたき込まれたことで、入社3〜4年で独立する人も多くいました。また経営、マネジメント層にキャリアを進める人がいるのが珍しくなく、私も自然に「そうありたい」と思うようになりました。
おかげで、今のような先の見えない時代でも「怖さ」がありません。新しい仕事、新しいチャレンジ、あるいは困難な問題に立ち向かうときに「怖くない」というのは、それだけでも強みになります。
マッキンゼー式の「問題解決」スキルの本当のすごさとは、スキルを身に付けた人がいつの間にか何も動じない、強くて達観した精神力まで備えてしまうところとも言えます。
「問題解決」スキルは上達したけれど、新しいことには怖くて挑めないというのではもったいないですよね。ぜひ、自分を強くするという視点でも、マッキンゼー流を参考にしてほしいと思います。
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