マッキンゼーは“見た目”にもこだわるマッキンゼー流仕事術(2/2 ページ)

» 2013年10月08日 09時18分 公開
[大嶋祥誉,Business Media 誠]
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伝わりやすいのどっち?

 例えば次のような資料のチャートならAとBの、どちらのチャートのほうが理解しやすいでしょうか? 伝えたいメッセージは「A社の台頭が脅威になりつつあり、日本・アメリカ両市場でのシェア安定のために一層の努力が不可欠」ということです。

チャートA
チャートB

チャートAの問題点

  • パッと見て、何をどう読み取ればいいのか分かりにくい
  • 本来、このチャートでは自社と競合3社の日本市場、アメリカ市場でのシェ

ア推移を伝えたいのに、その意図が伝わってこない

チャートBの改善点

  • 日本市場、アメリカ市場での自社と競合3社のシェア推移が分かりやすい
  • それぞれのシェアの内訳もよく分かる
  • つなぎ線やシェードを効果的に使っていることで、チャートの意図がさらに伝わりやすくなっている

 比較してみると、伝えたいメッセージが視覚的に分かりやすく伝わるのはチャートBのほうですよね。神は細部に宿ると言われますが、このように細部にこだわり、伝えたいことを洗練させることで、ぐっと読み手をひき付ける資料になるのです。こうしたこだわりを面倒だと感じる人もいるかもしれません。けれど、優れたものには、必ずそうであるための理由があります。

 マッキンゼーが「見た目」にこだわるのも、そこに至るプロセスを含めて、細かいところまできっちり押さえた仕事をすることで、後になってから「想定レベルに達していない」「思ったような結果が出ない」ということになるのを防ぐことができるからです。

 一般的な仕事の場面でも、細かいところをきっちり押さえることは、いろいろな良い結果につながります。メールの件名、メモや会議資料でも、必ず何の資料なのか、パッと目に入り理解できるタイトルを付けるというのもそうです。

 会議資料で「社内の省エネ対策における費用対効果」というタイトルよりは、「空調温度プラス2度で年間10万円コスト削減」のほうが、伝えたいことと伝わることのズレが少ないですよね。

 資料の中身にはいいことが書いてあるから、読んでもらえれば分かると思っていても、相手が忙しい人であれば、すべて目を通してじっくり読み込んでくれるとは限りません。

 プレゼン資料のタイトルやリード文だけをサッとスキャンして読み取っただけでも「何が伝えたいのか分かる」もの、そのうえでさらに「これは重要だ」と相手をひき付けるものにする習慣は、早めに付けたほうが絶対にプラスです。

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