私たちビジネスの世界で、モンテッソーリ的な集中力を発揮させ、成果を得るための唯一無二の方法は、目標設定や計画、判断に本人自身がしっかりかかわることです。
会社の売り上げや個人の業績目標というものは、第三者からトップダウンで指示されることも多いでしょう。しかし、目標設定に本人がかかわると「目標」の意味が違ってきます。
分かりやすくいえば、第三者が設定する目標はノルマでしかありません。しかしその設定プロセスや実現方法の計画に深く本人がかかわることで、ノルマは達成すべきゴールに変わるのです。ノルマには追われる印象ですが、ゴールは自ら進んで到達しようとするもの。心の中ではまったく真逆のポジションです。
可能な限り、他者からもらった目標であっても、自分なりにそれらを分解して中間目標を作ることです。例えば営業数字は他者からもらった目標であっても、1日の顧客訪問数、提案書のブラッシュアップ点数、アタックリストの総数など目標達成につながるような具体的な二次的目標を自分で設定するのです。自分で設定して、自分で達成するとき、自分の中にはモンテッソーリの子どもたちの中で起きた「やりどける」ことへの導火線に火が付くのです。
もしもあなたがマネジメントに携わる立場なのであれば、メンバーの自律性を損なわないように環境や仕組みを整備することをお勧めします。短期的なインセンティブや懲罰で一時的にアウトプットを改善することは比較的簡単です。がんじがらめのマニュアルやチェックリストで品質を上げることもできるでしょう。ですが、長期的な視野に立てばそれらは百害あって一利なしです。
自分で考え、自分で行動することを超える方法はありません。ぜひメンバー自分でチャンスを作り、それを達成させることで、本人の成長を促すような持続可能なモチベーションシステムを築いてください。
最後に、今回の訪問でちょっとした驚きがありましたのでご報告。それは「お仕事」が終わった後で椅子を持ち寄り、子供たちがディスカッションするシーンでした。先生がディスカッションのテーマにあげたのは「中国が勝手に設定した新しい防空識別圏」! 1歳半から年長さんの集うディスカッションですよ?
さらに驚いたのは、子供たちがさらっと「安倍晋三さんと習近平さんはもっと話し合ったほうがいい」などと意見を述べたことです。中国の国家主席を言えない大学生や社会人もいるくらいなのに、なんて子供たちだと驚きました。
成功者ばかりを生み出している幼児教育プログラムのエッセンスをヒントに、大人でも、仕事や夢の実現のために集中力を総動員させるための技術についてまとめたものです。集中力がもたらす奇跡を知りたい方は、ぜひ一読ください。
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
ビジネスマンの「知的生産性の向上」をテーマに精力的に執筆・講演活動も行っている。近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』『プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術』『ノート・手帳・メモが変わる絵文字の技術』(中経出版刊)、『すべての勉強は、「図」でうまくいく』(三笠書房刊)がある。
連絡先: nagata@showcase-tv.com
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