YouTubeともニコ動とも違う――「GyaOは“大人のビジネス”」川邊社長:ビジネス動画活用セミナー
「PVではYouTubeやニコニコ動画にはかなわない」というGyaOやYahoo!動画が、今後展開していくビジネスモデルとは――。GyaOの川邊社長は「合法の映像」「大人のビジネス」をキーワードに展望を語った。
「YouTubeにしてもニコニコ動画にしても完全に利用者視点に立っているが、そしてそれは1つの大事な姿勢だとも思うが、(広告ビジネスを)そういう形でやるとなるとなかなか難しい。我々はもうちょっと“大人のビジネス”の映像サイトに挑戦する」
日本を代表する動画プラットフォーム各社が勢ぞろいし、これからの動画マーケティングについてそれぞれの考えを述べた「ビジネス動画活用セミナー」。締めくくりに登場したGyaOの川邊健太郎社長は、YouTubeやニコニコ動画とは異なる視点での「合法の映像配信ビジネス」についてアピールした。
Yahoo!動画で「今1番おもしろい動画を紹介する」
もともとUSENグループの映像配信サイトとしてスタートしたGyaOは、2009年4月に51%の株式を取得されてヤフーグループの一員となった。社長を務める川邊氏は、ヤフーのメディア事業統括本部メディア企画部長を兼務している。
「今、ヤフー全体で映像事業の仕切り直しをしようとしている。Yahoo!トップページを、映像の紹介や検索やカテゴリ分けといったナビゲーションの機能を充実させた形でリニューアルする。メディアは選ばず、今この時点で1番おもしろい動画はこういうものだよ、と案内する役割だ」(川邊氏)
今後はYahoo!動画、GyaOに加えてさらに映像ポータルを作り、映像配信、広告配信、課金のためのプラットフォームとして機能させることも検討しているという。
「合法の映像」「大人のビジネス」を強調
YouTubeやニコニコ動画のような動画投稿サイトとの棲み分けは、どのように考えているのか。「(動画投稿サイトとGyaOでは)ビジネスドメインが全然違ってくる。これは特にニコニコ動画を意識してのことだが、ニコニコ動画は非常に多層的なインタラクティブの世界だ。極めてネット的な、かなり進化したメディアリテラシーの高い人が使うメディアだと思う。我々はもっと大衆寄り、TSUTAYAにビデオを借りに行く人が『雨が降ってるから面倒で』とか『テレビで見逃しちゃったから』とか。それが合法できれいな映像で出ているならばOKだと。そういう万人向けのメディアという位置づけ」
上の発言からも分かるように、川邊氏がこの日の講演で繰り返し強調したのが「合法の映像」「大人のビジネス」というキーワードだ。
「宣伝している広告主さんのおかげで映像が見れているんだと。そうして(広告で)売り上げがちゃんと立っていかないと、無料の合法の映像サイトというのは成り立たないんだというリアリズムを、お客さん(視聴者)にちゃんと我々からコミュニケーションする。権利元の権利を守りながら、大人の、合法のネット映像市場をきちんと作ることに新たに挑戦したい」
合法の動画でネット全体が変わる
「ネットは足が速いメディア」だと川邊氏は言う。Yahoo!ニュースでは分単位、秒単位でトピックスが変わっていくため、広告を出稿する側からすると「うちの広告は本当に出てたのか?」という印象を抱くことも多いようだ。
「キーワードは“出てる感”。画一的なヤフーの広告メニューは、その点にまだ答えられていない。GyaOでは『ヤフーなのに、出てる感のある』そんな広告商品を開発していきたい」。そのためには、テレビCMと同じような映像広告にこだわらず、動画ページを丸ごとジャックしたり、直近20日間の行動にマッチングした行動ターゲティング広告を打っていくことを考えているという。
Yahoo!動画とGyaOを合わせて、マスにもニッチにもリーチできる広告を目指すと言う川邊氏。ユーザー投稿型のYouTubeやニコニコ動画は、どうしても違法な動画の取り締まりにコストがかかるが「GyaOは広告主が安心して出稿できる映像配信プラットフォームを目指す」
米Cisco Systemsの試算によると、2013年までにネットのトラフィックは9割が映像になり、モバイルも70〜80%くらいが映像のトラフィックになるという予測が出ている。川邊氏は「合法にネットの作品が出ていくことにより、ネット全体が変わっていくのではないか」とし、Yahoo!動画とGyaOが担う役割に自信を見せた。
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