遅刻の原因も分かる!? ストップウォッチ仕事術:最強フレームワーカーへの道
会議の時間が延びて、次のアポに遅れる、提出物が締め切りに間に合わない、電車に乗り遅れて10分遅刻した――などの原因を“究明”したことがあるだろうか?
- 会議の時間が延びて、次のアポに遅れる
- 提出物が締め切りに間に合わない
- 電車に乗り遅れて10分遅刻した
どれをとっても日常的にある出来事だが、その原因について真剣に考えたことのある人は意外と少ないはず。「遅れた」という結果だけ受け止め、原因を究明しないと、そのツケは自分に回ってくることを認識すべきだ。
そもそも人間は時間に対して、あいまいな感覚しか持っていない。ヒトの体内時計は実は24時間ではなく、25時間周期であって、太陽光によってそれを毎日リセットしている。さらに、個人ごとで時間のとらえ方や感覚は異なる。また、同じ個人でも、年齢、体調、作業内容、時間帯などによって感じる時間の長さが変わる。忙しいベテランビジネスマンは、加齢+仕事への集中という2つの要因で、より時間が短く感じるという。
例えば「そんなの5分もあればできるだろう!」と思っている作業を正確に計測してみるといい。たいがい思っているよりも時間がかかっているものだ。「手短にお願いします」と言って依頼したスピーチが、本当に手短だったことはない。しゃべりだすともう本人の時間感覚が失われてしまい、聴いている側と時間の早さにギャップが生じる。
冒頭に述べたような遅延問題は、「自分ができる」と期待する時間と、「自分でできた」実際の時間にギャップがあるからだ。もちろん、知的生産性の向上に努め、速く仕事が片付けられるようにすることは重要だが、最初の一歩は実態把握からである。
「僕は一体、何分何秒でこの作業を終えることができるのだろうか?」
これを正確に把握するのに便利なのがストップウォッチだ。今どき、ストップウォッチはいろんな機器におまけとしてついている。私が愛用するiPhoneにも時計の機能の1つとしてストップウォッチがついており、ラップ(断続的、継続的にタイムを記録する方法)にも対応している。
このように時計のストップウォッチ機能を使うのもよいが、個人的には専用のストップウォッチをすすめたい。(ちなみに、私はタニタのストップウォッチ「TD-392-BK」。Amazon.co.jpでは1680円で販売)
専用のストップウォッチは、かさばるというデメリットがあるが、逆にそれによって「計測したい!」という欲求が生まれる。ボタンも本格的なものだと、押した時の感触も気持ちよい。
日常的にストップウォッチを使うと新しい発見も多い。例えば朝の通勤時である。駅ごとの停車時間を計測してみると、駅ごとに停止している時間にずいぶん差異があった。時間の差異は乗降者数に比例するのか、それとも別の理由であらかじめ駅ごとに細かく決まっているのか――などと疑問がわいてくる。何気なく過ごしている時間も、ストップウォッチで計測することでいろんな思考の訓練になる。
しかし、ストップウォッチが一番有効なのは、デスクで仕事をする時と会議の時である。デスクでメールをチェックしたり、提出物を作成するような作業を行っているときに、どの程度の所要時間が必要なのか知ることができるのは大きい。自分の知的生産性を「数値」で知ることができれば、ショートカットキーやテンプレートなどを駆使することで、どの程度改善するのかを正確に測れるわけだ。数字で把握できるようになると、それが楽しくなり、より改善努力しようというマインドが生まれるのだ。
また会議では、全体の終了時間をキープするために、「所要時間付きのアジェンダ」を事前に準備することをおすすめしたい。特に、報告や発表が大人数から行われるような会議では、1人あたりの持ち時間を事前に伝え、ストップウォッチで計測しながら会議を進めると有効である。
所要時間付きのアジェンダ例
- 目的:売上の低下しているA商品の再起計画を検討する
- 出席者:Aさん、Bくん、Cさん、Dくん
- 検討事項:
・売上低迷の要因洗い出し 10分
・既存リソースで改善できそうな点の洗い出し 15分
・アクションプランと担当割り振り 5分 - 開催日時:○月△日 10:00〜10:30
※30分しかやりませんので、各自アジェンダを確認し、自分の意見をとりまとめておくように
時間に敏感に行動するようになれば、自然と無駄な時間は減り、知的生産性を高める活動も習慣化する。その第一歩が、ストップウォッチだ。ぜひ、お試しあれ!
著者紹介 永田豊志(ながた・とよし)
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)がある。
連絡先: nagata@showcase-tv.com
Webサイト: www.showcase-tv.com
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