動画と写真で確認する――裁断&スキャンのコツ(スキャン編):電子書籍「自炊」完全マニュアル(3/3 ページ)
書籍を「裁断→スキャン」してデジタルデータ化する行為を、俗に「自炊」と呼ぶ。この自炊ノウハウや細かいTipsを紹介する短期連載。第3回となる今回は、裁断した本をドキュメントスキャナで取り込む工程を、動画と写真を交えて説明しよう。
取り込んだPDFを結合して完成させる
ページ間に途中にポツンとカラーページが挟まっている場合はどうするかというと、ページを分けて読み込み設定を切り替えつつ取り込み、あとで結合する。つまり本文が200ページあるうち、101〜110ページの計10ページだけがカラーだとすると、1〜100ページを「グレー」もしくは「白黒」で取り込んだのち、101〜110ページは「カラー」、111〜200ページまでは「グレー」もしくは「白黒」といった具合に別々の読み取り設定で取り込み、あとで結合してひとつのファイルにまとめるわけだ。
このあたりは手間との兼ね合いなので、本文に多少色が乗っかっても問題ないのであれば、全部「カラー」でやってしまってもよいと思う。本の重要性によっても変わってくるだろう。
ちなみにこれらカラーモードを切り替えることでファイルサイズにどの程度の影響を及ぼすかだが、「カラーとグレーはほぼファイルサイズが同じ、白黒は極端にファイルサイズが小さくなる」と覚えておくとよいと思う。具体的に、B5サイズの雑誌記事40ページ(20枚)を、筆者がプリセットして使っている上記の設定でスキャンした時の値は以下の通りである。
取り込み設定 | ファイルサイズ |
---|---|
カラー | 38.3Mバイト |
グレー | 41.4Mバイト |
白黒 | 3.1Mバイト |
上の例ではグレーのほうがカラーよりもファイルサイズが大きくなってしまっているが、むしろ見るべきなのは白黒のファイルサイズの小ささだ。グレーのおよそ10分の1と極端に小さい。ストレージ容量に制限のある電子書籍端末に多くのファイルを突っ込むのであれば、グレーよりも白黒で取り込んでやったほうがよい所以である。表示がモノクロのKindleであれば特にそうだ。とはいえ白黒だと写真やイラストの階調が飛んでしまうので、そこは無理をせずグレーで取り込むべきだ。
なお、ページ数が多く複数回に分けてセットしなくてはいけない場合は、継続読み取りをオンにしておくと、あとで結合する手間が省ける。ただし前述のように途中にカラーページが挟まっている場合など、読み取り設定を途中で切り替える場合は継続読み取りは使えないので、個別のファイルとして取り込んでおいてあとから結合する。
PDFを結合する方法はいくつかある。Acrobatの「サポートしているファイルをAcrobatで結合」でも結合できるし、2つのPDFファイルを開いておいてページをドラッグ&ドロップで移動させることもできる。また、一方のPDFファイルを開いておいて、別のPDFファイルをまるごとドラッグ&ドロップするという方法もある。動画も掲載しておくので参考にしてほしい。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
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全ページのスキャンが終わり、カバーと本文の結合が完了して1つのファイルになれば、自炊による書籍のデータ化は終了だ。なお、多くの電子書籍端末もしくはビュワーではPDFファイルの1ページ目を表紙として扱うので、結合する際に1ページ目に表紙が来るようにしておく。表紙も含めたカバーまるごとが1ページ目に来てしまうと、自動的に縮小されるなどして見た目が悪くなるので注意したい。
なお、これまで見てきたように、ScanSnapは複数の読み取り設定を登録できるが、ひんぱんに切り替えると手間がかかるので、なるべく同じ設定のまま連続スキャンできるよう、取り込みの順序は工夫したほうがいい。例えばカラー表紙はシリーズものの10冊分をまとめて取り込み、その後モノクロの本文を順番に取り込む、といった具合だ。ただしファイルを結合する段階で解像度やカラーモードに間違いがあったことに気づくようでは手戻りが大きいので、作業の工程を把握できるようになるまでは、1冊ずつ取り込んだほうがいいだろう。
ところで「PDFで取り込んでいるみたいだけど、JPGじゃダメなの?」という声も聞こえてきそうだが、筆者自身はあまり明確な区別はせず、PDFに統一している。
ちなみにファイルサイズという点で見ると、今回取り込んだのと同じ書籍をフォーマットのみJPGにして取り込んでZIP圧縮した場合、ファイルサイズは78.6Mバイト。これに対してPDFだと83.3Mバイトなので、少なくとも容量の関係でフォーマットをあれこれ変える必要はないといっていい。PDFかJPGかを決定するのは、ビュワーがサポートしているか否か、取り込んだ後にレタッチソフトで修正を行うか否か、といった要素に依存すると言えるだろう。
ここまで一通りの工程を説明したわけだが、次回はScanSnapの取込ユーティリティ「ScanSnap Manager」の各種補正機能の使い方や、スキャン後のチェックポイントなどを紹介する。
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