外出先での書類スキャンと共有に便利な「ScanBit MFS-60」でEye-Fiを試した:使える? ハンディスキャナ(2/2 ページ)
「ドキュメントスキャナは便利だけど、出先でPCなしでスキャンしたい」という人も多いはず。本体上部に液晶モニタを備えたハンディスキャナ「ScanBit MFS-60」は、PCなしのこれ1台で書類をかんたんにスキャンでき、結果は本体のモニタですぐにチェックできるのが特徴だ。SDカードスロットも装備しているので、Eye-Fiも試してみた。
読み取った画像をWebで即共有
もう1つの特徴は、PCと接続した時に使える。読み取ったデータを手軽にWeb上に公開できるのだ。サーバにアップロードするのではなく、このスキャナ自体をWebサーバ化するというユニークな仕組みである。製品単体ではネット通信機能は持たないので、通信機能を持つPCを経由する必要はあるものの、スキャンしたのち転送せずにすぐにWebで共有できるのはなかなか面白い。
手順はこうだ。ScanBitをPCに接続してマスストレージ接続を選択すると、SDカードの内容がPCで見られるようになる。SDカード内にあるユーティリティ「ServersMan mini」を起動し、画面レイアウトを「標準タイプ」「写真タイプ」「映像タイプ」の3つの中から選んで「公開にする」ボタンを押せば、アクセスするための固定URLを発行する。このURLを共有したいメンバーに告知することで、誰でもブラウザ経由で画像を読みに来てもらえるというわけだ。
Ustreamの公開セミナーや講演会で、レジュメや手書きのメモを視聴者に配信する用途にも使えそうだ。あらかじめ用意してあるレジュメはもちろん、電子黒板に書かれた内容をプリントアウトしてScanBitで共有すれば、視聴者に板書内容をダイレクトに届けられ、セミナーや講演会のサービスの質の向上としても喜ばれることだろう。
一点気をつけなければいけないのは、共有はファイル単位ではなくフォルダ単位であるということ。つまり、過去にスキャンしたデータがSDカード内に残っていた場合は、それらもまとめて共有してしまうのだ。この機能を使う時点でPCからエクスプローラで参照できるようになっているので、必要でない画像はPC側から削除するか別フォルダに移動させるかしてから共有を行うとよいだろう。URLにはアクセス用にパスワードも設定できるので、限られたメンバーでの共有も容易だ。
ちなみに、上に記したサーバ化という方法以外にも、Flickrにアップロードして共有する方法もある。目的に応じてケースバイケースで使い分けるとよいだろう。
Eye-Fiを使って、スキャン→無線LAN経由で即アップロードも可能
Eye-Fiカード。無線LANを内蔵し、PCに直接データを保存したり、対応するオンラインサービスに画像をアップロードすることが可能。今回試用したのはIEEE802.11nにも対応した最上位モデル「Eye-Fi Pro X2」
さて、ScanBitは記録媒体としてSDカードを採用しているわけだが、そうなると1つのアイデアが浮上してくる。SDカードの代わりにEye-Fiカードを使ったらどうなるのか? ということだ。
Eye-Fiカードはご存知の通り無線LANを内蔵したSDHCカードで、デジカメなどでSDカードの代わりに使用することで、撮影した画像を無線LAN経由でPCに保存したり、Evernoteやmixiフォト、Flickr、PicasaウェブアルバムなどのWebサービスに直接アップロードできる。このEye-Fiカードを本製品に装着してスキャンすれば、わざわざSDカードを抜き差ししてデータをコピーする手間なしに、スキャン画像をダイレクトにPCに保存したり、各種Webサービスにアップロードできるのではないだろうか。
結論から言うと、ScanBitとEye-Fiカードの組み合わせにより、これら無線LAN経由でのデータの保存、そしてWebサービスへのアップロードとも問題なく行えた。Eye-Fiカードが対応するすべてのWebサービスで試したわけではないが、例えばEvernoteであれば、スキャンした画像を自動的にEvernote上に転送し、PCのほかiPhoneなどから閲覧することができた。Evernoteをはじめとするさまざまなオンラインアルバムサービスに対応しているEye-Fiカードは、ScanBitの用途を大いに広げてくれる存在になりそうだ。
外出先での書類のデータ化、およびデータの共有に向いた製品
以上ざっと見てきたが、本製品は読み取り面が片面のみであること、また複数の原稿を重ねてセットできないことから、昨今流行っているiPadやKindle向けの電子書籍の「自炊」用途に使える製品ではない。PC不要でスタンドアロンで使えること、またわずらわしい設定なしで共有できるという手軽さを生かして、出先での書類のデータ化、および複数メンバーでのデータの共有に威力を発揮する製品だと言えるのではないだろうか。
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