Kindleで自炊時に気をつけたい5つのテクニック:電子書籍「自炊」完全マニュアル(3/3 ページ)
本の裁断やデータ化などについては前回までで触れた。今回以降はKindleやiPadといった電子書籍を読む側の端末における特性やTipsに言及する。
ファイル名をどうするか
現行のKindle 2/DXは日本語表示に対応していないので、日本語を表示させようとすると文字化けしてしまう。ドキュメントスキャナで取り込んだ本文ページは画像になるので問題ないとして、ファイル名は別である。不用意に日本語でファイル名につけてKindleに転送すると、一覧画面で容赦なく文字化けしてしまうのだ。
これを回避するには、あらかじめ英語のタイトルを付けておく必要がある。筆者の場合、作者名と作品名ともにローマ字で、「ローマ字の著者名-ローマ字の作品名-著者名-作品名」といったフォーマットでファイル名を付けている。こうしておけば作者名でのソートも容易だからだ──と言いたいところなのだが、面倒&見栄えが良くないことは否定しようがなく、筆者は最近ではKindleへの転送時にローマ字でファイル名を付け直すようになった。このあたりは新しいKindleが登場すれば話が変わってくるだろう。
ファイルの転送方法と分類について
Kindleは添付のUSBケーブルを用いて接続することにより、PCからはUSBマスストレージとして認識される。PDFにせよZIP圧縮したJPGファイルにせよ、エクスプローラ上で普通にドラッグ&ドロップで転送すればOKだ。iTunesを経由したり、FTPなどを用いなければ転送できないiPadに比べると、非常にお手軽である。
2010年6月公開のファームウェア「2.5.2」以降では、新しく「Collection」という機能を追加されている。これは要するにフォルダ分けに相当する機能で、階層構造を持たせてPDFデータをはじめとするタイトルを分類できる。従来であれば一覧画面にはわずか10、Kindle DXでも16のタイトルしか表示できなかったため、多数のタイトルを転送すると呼び出しが大変だったのが、これによってずいぶんとタイトルの管理がラクになった印象だ。読みたいデータを転送し、読み終わったら消す、という使い方をしなくとも、ずっと入れっぱなしにしておけるのはありがたい。
ところでこのPDFデータの転送の際、筆者はWindows標準のエクスプローラではなく「DuoExplorer」というフリーソフトを使っている。これはインストール不要で動作する2ペイン型のファイラーで、このEXEファイルをKindleのルートフォルダに入れ、USB接続するとAutorunで起動ダイアログが表示されるようにしておく。これによって、KindleをPCにUSB接続すると自炊データが保存されているハードディスク内のフォルダとKindleのdocumentsフォルダが並べて表示され、すぐにドラッグ&ドロップで移動できるようになる。上記以外の2ペイン型のファイラーでも、使えるソフトがあるかもしれない。
おまけ:USBケーブルについて
自炊話とは直接関係ないのだが、最後にUSBケーブルに関する小ネタを1つ。Kindleに付属するUSB充電ケーブルはわりと外皮が固いうえ、長さも中途半端でかさばる。しかしUSBコネクタの形状が現時点でまだ普及率の低い「Micro USB」ということもあって、代替品はなかなか見つからない。
先日になってエレコムが発売したXperia/HTC Desire対応の巻取式ケーブル「MPA-AMBIRL07BK」は、USB Micro-Bコネクタを搭載しており、試したところKindleのデータ転送および充電に利用できた。メーカーが対応を謳っているわけではないので自己責任だが、長さが調節可能であるため持ち運びにぴったりなほか、デスクサイドでもかさばらなくて済む。ネットで調べる限りでは、ほかにもいくつかのメーカーから同等品の発売予定があるようだ。Kindleユーザーは、試してみてはいかがだろうか。
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