時間コストを気にしない中国人にスケジュールを守らせる方法:中国ビジネス、ここだけの話
来日10年の中国人社長が教える「中国ビジネス、ここだけの話」。第1回は中国人のペースに乗せられて、スケジュールがコントロールができなくなることをどうやって防ぐか。
筆者は中国出身だが、来日して約10年がたった。現在はジェーピービジョン代表取締役として、日本の中小企業に向けて中国調達・中国進出事業をサポートしている。
中国の会社と一緒に仕事をすることの多い筆者が気付いたことをお伝えしよう。一番気をつけたいのは、相手のペースに乗せられてスケジュールのコントロールがきかなくなってくることである。
日常業務が忙しくなると緊急案件も対応不可?
中国の会社の従業員はたいてい、仕事の時間コストを気にしないタイプが多い。例え緊急な事態が起きて上司に「すぐ動け」と指示されても、担当者が勝手にその事の緊急度を自分なりに判断する。特に手元に仕事をいっぱい溜めて忙しい時に、いくら緊急事態と言われても、残念ながらそのまま無視することも多いのである。
従って中国の会社に物事を頼んだ時に、注文を出したらすぐ相手会社の担当者に確認すること。その時、メールやファックス確認よりは直接電話するほうがおすすめだ。注文内容、注意事項を相手に理解してもらうように詳しく説明してあげよう。話ができない場合、メールやファックスを出したら、必ず相手から「受け取った」という返事をもらうように心掛けよう。「注文を出したから大丈夫だろう」と、確認せず安心して任せきると、どこか行き違いのミスを招くかもしれない。
プロジェクトが進行している間も、必ずこまめに進捗をチェックすること。中国では「計画〓(「走」に「旱」)不上変化」(計画より変化のほうが追いつかない)という言葉があり、計画通りに進んだプロジェクトはかえってまれである。途中で何かしら不慮の変化で仕事のリズムが狂ってしまう恐れが必ずひそんでいる。
中国人にとっての納期は“努力目標”
中国人にとって納期とは単に努力する目標にすぎない――ことも忘れてはならない。自らの都合で平気に納期を遅らせる。日本側が催促したら、中国人担当者は「もう遅れちゃったからしょうがないよ。今、急がせても、あわてて作ったものじゃ品質は保てないよ」と反論するはずだ。頭が痛いけれど、なかなか打ち返す手がない。
正直に言うと、中国側も意図的にわざと納期を遅らせることがあまりない(と思う)。納期が遅れる最大の原因は納期管理が日本に比べて格段に甘いことなのである。
中国側がお客に提示した納期は仕事がすべて順調進んだ場合での計算であり、想定外の出来事が発生しない前提条件なのだ。日本では、不慮の事態を想定し、わざと長めに納期を設定するが、中国にはそれがあまりない。
しかし、購入した原材料がなかなか届かなかったり、加工設備が突然故障したり、作業員が急病で出勤できなかったりして、中国の現場は常に予想外の出来事の連続なのである。
最初の段階で工場の管理者は「一時遅れたけど、後工程で何とか挽回するよ」と根拠なき自信を持っている。だんだん納期が遅れてそうなことがうすうす分かってくるが何も言わない。ようやく最終工程に至ってはじめて「もう納期通りに完成できない」と連絡が入ってくる。これでは結局お客さんに迷惑をかけるばかりである。
これは「中国人の性格上のルーズさ」と指摘されてもしかたがない。「納期を守らせる」のは本当に難しいかもしれないが、中国側に提示された納期に対して、本当にできるかどうかを日本側の担当者にも見抜ける能力が必要だ。
私の経験上「中国側が提示した納期にプラス2週間から1カ月」という計算方法が無難。もちろん製品によって違うが、できるだけ注文する側でバッファを持っておく方がいいだろう。
※この記事は、誠ブログの「一葉落、知天下秋 - 中国人在東京:『中国ビジネスのここだけの話Vol.1』-中国人にとって納期とは単に努力する目標にすぎない」より転載、編集しています。
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