ベッキーの謝罪会見は、なぜ「質問禁止」だったのかスピン経済の歩き方(4/6 ページ)

» 2016年01月12日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

苦肉の策として「質問禁止」

 こういう歴史の教訓から、サンミュージックが「質問禁止」にこだわったというのは容易に想像できる。いくらベッキーが、数々の番組でMCを務め、コミュニケーション能力が高いとはいえ、LINEの文面など動かぬ証拠がある以上、三田さん以上に厳しい追及に合い、「絶句」するのは目に見えているからだ。

 つまり、「質問禁止」によって嵐のようなバッシングを受けようとも、へたに質疑応答をして「失言」するよりはマシというギリギリの判断が働いた、というわけだ。

 そのように聞くと、「どうせなにをしてもイメージ悪化は避けられないんだから、会見などせず謝罪のコメントだけ出してればよかったんじゃないの」と思うかもしれないが、それもかなり難しい。

 大企業10社を相手に各社と数千万規模の取引をしていれば当然、「説明責任」がある。また、イメージキャラクターが速やかな情報開示姿勢を示さないというのは、起用している企業イメージまで巻き添いをくらう。それを避けるため、企業側が独自の判断で「縁を切る」こともある。

 実際に、あの矢口真里さんがそうだった。「自宅で不倫」の疑惑が報じられた時、矢口さんは会見を行うことなく、メディアの前から姿を消して沈黙を守っていたが、騒動は沈静化するどころかバッシングが激しくなる一方となった。これには便秘薬「新ウィズワン」のCM契をしていたゼリア新薬も耐えかねたようで、所属事務所が把握しないうちに、同社公式サイトから矢口さんの画像をひっそりと消去している。

 とにかく会見は絶対に催さなくてはいけない。しかし、質疑応答を認めてしまったら、それこそ獲物をライオンの群れに放り込むようなものである。そこで苦肉の策として浮かび上がったのが、「質問禁止」だったのだろう。

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