ベッキーの謝罪会見は、なぜ「質問禁止」だったのかスピン経済の歩き方(5/6 ページ)

» 2016年01月12日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

スポンサー離れをどこまで食い止めることができるのか

 そのような視点で対応をみると、ベッキーと妙にかぶる人物が海の向こうにいる。タイガー・ウッズだ。

 ウェイトレスからポルノ女優まで大量の愛人が発覚し、元妻にゴルフクラブで襲撃されるというダイナミックな不倫スキャンダルに見舞われたのも記憶に新しいが、実は3カ月の活動自粛の後に催した復帰会見は、ベッキー同様に「質問禁止」という条件がもうけられた。

 事情もよく似ている。当時、最大のスポンサーであるアクセンチュアから手を引かれ、AT&T、P&G傘下のジレット、飲料大手ペプシコなどの有力スポンサーも「うちもそろそろ」という雰囲気を醸し出していた。この復帰会見は、そのようなスポンサー離れを食い止めるために催された。事実、ウッズの代理人も「これは記者会見ではない」と明言した。

 もちろん、そんな都合のいい会見を、米国メディアも許すわけがない。今のベッキー以上に激しいブーイングの嵐が巻き起こった。だが、興味深いのはスポンサーの動きだ。復帰表明も虚しく、AT&Tやジレットなどはサクッとウッズに見切りをつけたが、ナイキなどの一部スポンサーは世間のバッシングどこ吹く風でしっかりと支援を続けたのである。

 報道によると、ベッキーのスポンサー離れは着々と進んでおり、「半数」になるという見方もある。「太田胃酸」はCM打ち切りを決定。花王、NTT都市開発は当初の予定通りということだが今月末で契約終了、ローソンは一時取りやめ(期間は未定)、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険は検討中らしい。

 世界的トップゴルファーと、日本のタレントを一緒くたにはできないが、「ウッズ方式」を採用した彼女のコミュニケーションで、スポンサー離れをどこまで食い止めることができるのか、というのは非常に興味深い。

「ウッズ方式」を採用したベッキー(出典:タイガーウッズ公式Webサイト)

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