西野監督の去就はどうなるのか 見え隠れするJFAの思惑赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)

» 2018年07月05日 12時04分 公開
[臼北信行ITmedia]

外国人監督の招へいに動き出す

 ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督の解任劇を受け、ドタバタで就任しながらも西野監督は短期間でチームをまとめ上げて第一目標の決勝トーナメント進出を果たした。西野続投を求める声は多く、その流れを日本サッカー協会(JFA)側も踏襲していくものと思われたが、どうも違う方向性にかじを切りつつあるようだ。同協会内から西野続投に異論が飛び出し、JFA幹部たちが実際に再び外国人監督の招へいに動き出しているからである。

 最有力候補となっているのが、ユルゲン・クリンスマン氏だ。選手としてはドイツのエースストライカーとして活躍。母国のドイツ代表、米国代表チームの監督を歴任し、独ブンデスリーガの名門バイエルン・ミュンヘンも率いた。素晴らしい経歴の持ち主だが、どこまで日本のサッカーにフィットするかは不透明だろう。複数のメディアによれば、他にも英プレミアリーグの名門アーセナルFCで輝かしい経歴を残したアーセン・ベンゲル前監督や、前者2人と比較するといまひとつパッとしない戦歴のロベルト・ドナドーニ元イタリア代表監督の名も候補として挙がっているという。

 クリンスマン氏やベンゲル氏の代表監督就任が決まれば、それはそれでインパクトが大きいはずだ。しかしながら今回、このクリンスマン氏を次期監督の最有力候補とする“スクープ”を掲載した複数メディアの後ろ側には、やはりJFA内部の情報源の存在が見え隠れする。

 西野監督が高齢を理由に技術委員長職に復帰し、有事発生の場合に指揮官として再登板できるようにスタンバイさせるプランまで妙に詳細な形で報じられていることも極めて怪しい。おそらく新外国人監督誕生を願うJFA内のリーク者が世論の反応を見るために観測気球を打ち上げたのではないだろうか。

 ちなみに一部のスポーツ紙には西野監督の手腕について「1勝1分け2敗で、退場者を出した10人のコロンビアにしか勝てなかった結果を疑問視する声があり、風向きが変わった」とまで書かれていた。短期間でチーム建て直しの難しい役割を押し付けた上、期待を大きく上回る結果を残した功労者の西野監督に終了直後から本気で難クセをつけているJFA幹部がいるとしたら神経を疑いたくなる。

 ネット上の反応も、そのほとんどがよろしいものではない。こうした大きな注目度を集めるアドバルーン記事の裏側には提供したネタ元側の狙いが何となく読み取れてしまうからである。要は斬新な話題で世の中を引き付け、何かと糾弾されているJFA・田嶋幸三会長への矛先が向けられないようにしようという意図も感じられるからだ。

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