連載:熱きシニアたちの「転機」
「定年後」をどう生きるのか――。
「人生100年時代」が到来する中、定年直前になってからリタイア準備を始めるのでは遅い。生涯現役を貫くために、定年後を見据えて「攻めの50代」をいかに過ごすか。新天地を求めてキャリアチェンジした「熱きシニアたち」の転機(ターニングポイント)に迫る。
本もネットで買う時代。商店街から書店が次々と姿を消す一方、ネット専業の古書店が日の出の勢いで増えている。新規参入の多くは、読書好きの中高年男性だ。そんなシニアを、斬新なアイデアを次々と繰り出して強力に援護射撃する先輩シニアがいる。日本初の古書検索サイト「スーパー源氏」を運営する、株式会社「紫式部」代表の河野真さん(62)だ。
横浜市内のビルに入居する紫式部の本社。訪ねると、河野さんがオレンジ色のTシャツ姿で現れた。目元や頭髪の具合は年相応だが、そのカジュアルないでたちは、まるでITベンチャーの若手経営者だ。
最初に、気になっていた会社名の由来を尋ねたら、「実は私、紫式部の子孫なんです」と真顔で言う。驚いて「本当ですか」と聞き返したら、「冗談ですよ」といたずらっぽく笑った。突拍子もない社名にしたのは、「ほんの遊び心から」。こんなふうに、常識にとらわれない頭の柔らかさと、人当たりのよさが、起業家・河野さんの最大の武器だ。
そんな河野さんも、最初は普通のサラリーマンだった。
早稲田大学を卒業し大手事務機器メーカーのリコーに就職。3年間、関西で「ドブ板営業をした」のち、東京に戻って新規事業を手掛ける部署に配属された。そこで頭角を現し、大企業のネットワークシステムを受注した功績で、社長賞を受賞する。海外駐在員の候補にもなった。結局、会社の業績悪化で海外駐在の話はなくなり、ソフト開発を手掛ける関連会社に出向になったが、「ベンチャーをやっているようで、とても新鮮で面白かった」。
「本当はサラリーマンになりたくなかった」と明かすぐらいだから、もともと起業家向きだったのかもしれない。
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