以上が島田さんへのインタビュー内容だ。
10年ほど前までは、女性を責任ある立場に登用する際に「女性ならではの感性を生かしてほしい」という理由が付けられることが多かった。現在はほとんど聞かれなくなったのはなぜなのか。島田さんへのインタビューを通じて理解できた。働き方を見直し、生き方を自分で決めることで人間らしい感性を開花させるべきなのは女性だけではないのだ。
筆者はライターとしてさまざまな人にインタビューをして15年以上になるが、会社の会議室での顔出し実名のインタビューで島田さんのように「本人そのもの」を見せてもらったケースはほとんどない。女性を含めて、ほとんどが「その会社らしい人」を無意識のうちに演じるからだ。それが無難であることは確かだが、島田さんの指摘する「枠」にはまっているともいえる。
会社員であっても自分の働き方と生き方を自分で決められるようになれば、島田さんのように自然体でかつエネルギッシュな人が日本の企業社会にあふれるようになるのだろうか。そのときには地獄のような満員電車もなくなっているはずだ。確かにワクワクするような近未来である。
大宮冬洋(おおみや とうよう)
1976年埼玉県所沢市生まれ、東京都東村山市育ち。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。2012年、再婚を機に愛知県蒲郡市に移住。自主企画のフリーペーパー『蒲郡偏愛地図』を年1回発行しつつ、8万人の人口が徐々に減っている黄昏の町での生活を満喫中。月に10日間ほどは門前仲町に滞在し、東京原住民カルチャーを体験しつつ取材活動を行っている。読者との交流飲み会「スナック大宮」を、東京・愛知・大阪などで月2回ペースで開催している(2018年7月現在で通算100回)。著書に、『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる〜晩婚時代の幸せのつかみ方〜』(講談社+α新書)などがある。 公式ホームページ https://omiyatoyo.com
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング