なぜドンクのフランスパンは、年240万本も売れているのか水曜インタビュー劇場(カタイ公演)(3/6 ページ)

» 2018年09月12日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

本格的なフランスパンをつくるのは難しい

佐藤: 日本に在住しているフランス人を中心に火がつきました。自分たちが食べていたパンを食べたいといった気持ちがあったので、「買ってみよう」という人が多かったのではないでしょうか。その後、口コミで広がっていき、日本人も興味をもつようになりました。ちょっと信じられないかもしれませんが、連日のように行列ができて、店はものすごくにぎわっていました。

 有名な女優さんやタレントさんがお忍びで通う店になっただけでなく、パンの袋も注目されました。「ドンクのパン袋を抱えて街を歩くのがおしゃれ」と言われるようになって、ファッションアイテムとして使用されたり、雑誌の表紙を飾ったり。

1966年にオープンしたドンク青山店

土肥: フランスパンを買うために、店の外には長蛇の列。ちょっとしたブームが起きたわけですが、そのような光景を見ると、「ウチもフランスパンを販売しようじゃないか」とライバルが増えたのではないでしょうか?

佐藤: さまざまな会社がフランスパンを出してきましたが、本格的なモノをつくるのは簡単ではないんですよね。職人の技術だけではなくて、設備、材料が必要になる。当社の場合、会社をつくって、設備や材料などを輸入していました。

土肥: ふむ。ちょっと嫌な言い方になりますが、お金があれば設備と材料はなんとでもなる。でも、職人の技術はそうはいかないような。長年売れていることを考えると、やはり技術がキモになるのでは?

佐藤: フランスパンの配合はとてもシンプルなんですよね。小麦粉、パン酵母、塩、水だけ。工程は、ミキシング、発酵、分割・成形、ホイロ(二次発酵)、焼成で終わり。このような話をすると、「簡単につくれそうだな」と思われるかもしれませんが、10人の職人がいても、同じようなフランスパンをつくるのは難しいんです。

青山店でつくられたフランスパンはあっという間に話題になり、連日行列ができた

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