なぜあの商品は売れた? 行列研究所が謎に迫る
インタビュー
» 2018年09月12日 08時00分 公開

水曜インタビュー劇場(カタイ公演):なぜドンクのフランスパンは、年240万本も売れているのか (6/6)

[土肥義則,ITmedia]
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フランスパンをつくることは奥が深い

フランスに何度も足を運んでいるパン職人の佐藤広樹さん

土肥: フランスパンを発売してから50年以上が経っていますが、その間にレシピは変えているのでしょうか?

佐藤: いえ、変えていません。水の量を1〜2%変えることはあるのですが、それは小麦粉の状態などによって変えているだけ。なぜ変えていないかというと、フランスパンは特別なモノではなく、日常のモノだから。

 当社のフランスパンを手にして、一口目に「うわーっ、ものすごくおいしい!」と感じることはないと思うんですよね。なぜかというと、そういう味付けをしていないから。フランスパンは日常食なので、シンプルな味でなければいけません。毎日食べても飽きないモノを目指しているので、50年以上前につくったレシピ(本場の味)をいまも変えていません。

土肥: 「熱烈中華食堂 日高屋」を運営するハイデイ日高の神田正会長は、とある報道番組で自社のラーメンの味についてこのように言っていました。「10人食べて、7人くらいがおいしいと言ってくれればありがたい」と。ものすごくおいしいラーメンではなく、毎日食べても飽きない味にこだわっているそうです。この考え方と、フランスパンに対する考え方が似ていますよね。

佐藤: 私は30年以上前からフランスパンをつくり続けていますが、自分がつくって「これは最高!」と思えたのは10回ほどしかありません。もちろん、それ以外のパンがダメという話でありません。当社の基準はクリアーしているのですが、自分のなかで納得して「最高」と呼べるモノをつくるのはそれほど難しい。

土肥: 同じ配合でつくっても、同じ温度でつくっても、同じ水を使っていても、「これ最高だよね」と呼べるモノをつくるのは難しいのですか?

佐藤: 同じモノを次の日にもできるんじゃないかと思って、つくってみるのですが、再現できたことはありません。それほどフランスパンをつくることは奥が深い。ただ、今日よりも明日、明日よりも明後日においしいモノをつくれるのではないか、と考えながら手を動かす。そこにこの仕事のおもしろさがあるのかもしれません。

(終わり)

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