バイクは事故が多いのに、なぜヤマハは「バイクレンタル」に挑むのか水曜インタビュー劇場(ブルンブルン公演)(4/6 ページ)

» 2018年10月03日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

バイクレンタル事業の不安

土肥: ここからはちょっと厳しめの質問を。クルマと違ってバイクは自立しませんよね。停車中または停車しようとする際に車体を足で支えることができず、「立ちごけ」してしまうかもしれません。また運転が苦手な人は事故やトラブルを引き起こす可能性が高くなるわけですが、バイクレンタルを始めるにあたってこのような不安はなかったでしょうか?

花倉: 「ない」と言ったらうそになるので、いまも「あります」。ご指摘の通り、普段バイクに乗っていない人が立ちごけをするかもしれませんし、使われる人数や件数が多くなると、大きな事故が増えるかもしれません。実際に調査したところ、借りようと思っている人の心配・不安の上位に「バイクを壊してしまったらどうしよう?」「弁償するとなれば、高いよね」といった声がありました。

 こうした不安に対して、どのような対応ができるのか。基本料金に「任意保険」と「車両補償」を付けました。詳細については資料を見ていただきたいのですが、バイクの修理が必要になった場合でも、免責金額を設定しました。万が一、大きな事故を起こしても、負担金額の範囲内であればこちらで補償しますよといった形で対応しています。

 それでもまだ不安をぬぐえない人もいると思うので、免責オプション(有料)を用意しました。これは独自の補償制度で、出発前に支払っていただければ、修理が必要になってもお客さんの負担はありません(免責オプションで免除されるのは、修理費用のみ。営業補償、対物賠償保険免責金額は対象外)。

土肥: ふむふむ。長くバイクに乗っていないリターンライダーにとっても、安心して借りることができるわけですね。ただ、実際にレンタル事業を運営してみないと、分からないことがたくさんありますよね。過去のデータや他社の事例が参考になるかもしれませんが、どのくらいの割合で事故が起きるのかはよく分かりません。

花倉: ですね。さまざまな情報を参考にして計算しているのですが、想定の範囲を超えて事故が起きてしまうのか、それとも範囲内に収まるのか。利用件数が増えていくなかで、検証していかなければいけません。

土肥: あと、料金についても避けて通れません。126CCを借りようすると、8時間で1万300円、24時間で1万2800円もする。レンタカーの料金と比べると、明らかに高い。ちなみに、某レンタカーの料金を見ると、コンパクトカーを24時間借りても6000円ほど。バイクレンタルの価格が高いのは、やはり保険の料金が大きく影響しているのでしょうか?

花倉: 先ほど申し上げたように、利用者の不安を払しょくするために保険を手厚くしました。そのぶん、どうしても料金に反映してしまって……。ただ、利用件数が増えていけば、料金を抑えることができるかもしれません。そのためには利用者を増やさなければいけませんし、利用しやすい環境をつくっていかなければいけません。

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