土肥: バイクに乗りたいのに乗れない人がいる。その問題を解決するためにレンタル事業に参入したわけですが、社内からは反対の声もあったのではないでしょうか? というのもバイクを販売している会社が、バイクを貸し出しすれば本業に影響が出るのでは? と不安を感じる人も多いはず。
花倉: 社内で、そのような声がありました。あと、現場で販売している人からも同じような声がありました。ただ、ヤマハのバイクを販売している「YSP」のなかに、独自にレンタル事業を運営しているところがあるんです。そうしたところからは不安の声がありませんでした。なぜか。購入する人と、借りる人は目的が違うから。
バイクを販売して終わりといった関係性ではなくて、何度もバイクを借りに来られる。そのうちに「買ってみようかな」となって、実際に購入するケースがあるんですよね。レンタル事業を運営したところ、お客さんとの付き合いが広がったという声が多く、いわゆるカニバリ(自社の商品が自社の他の商品を侵食する「共食い」現象のこと)の影響が出たという意見はありませんでした。
土肥: 事業化するうえで、苦労したことは何でしょうか?
花倉: たくさんあるのですが、そのなかでも「仕組み」をつくることに苦労しました。レンタル事業を行ったことがないので、どうすればいいのかよく分からなかったんですよね。先ほどYSPでレンタル事業を運営しているところがあるといった話をしましたが、そうしたところにも話を聞いて、実現するためにどんな課題があるのかを洗い出していきました。
最大のネックは、誰がバイクを用意するのか。YSPのなかには「バイクレンタルを始めたいけれど、バイクを用意する資金がない」というところもあって、なかなか運営できない声もありました。そのような意見を聞いていくうちに、やはり当社がバイクを用意しなければいけないという結論になりました。ただ、社内からは「お金がたくさん必要になるが、大丈夫か?」といった声がありました。
土肥: ヤマハ発動機販売がバイクを店に貸して、その店がお客さんに貸すという仕組みですね。お客さんが借りれば、その利益を案分するわけですか?
花倉: はい。
土肥: 何%でしょうか? (ずうずうしく)
花倉: それは秘密です(苦笑)。
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