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» 2018年10月31日 09時00分 公開

パーフェクトウーマン 女性が拓く新時代:両親亡くした一人娘の挑戦 元ラジオDJが「自己破産」覚悟でめっき会社社長に (6/6)

[大宮冬洋,ITmedia]
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次の世代につなげていく。それが人間の使命

――設立100年のときには伊藤さんはこの世にいないかもしれませんね。未来に投資をして、社員を育て、会社を永続させようと思うのはなぜですか。

 若い頃に両親の死を目の当たりにしたからでしょうか。「人は死に向かって生きている」と私は思っています。死ぬときに「いい人生だったな」と満足するために生きているのです。

 本当に満足するためには、「次の世代のために生きる」という心掛けが必要なのではないでしょうか。「自分さえよければいい」では世界が滅びてしまいます。子どもがいる人もいない人も、次の世代につなげていくことを考えて行動することが人間としての使命なのです。

 私の立場だと、未来のために必要な投資を惜しんではいけないのです。赤字が怖くて経営できるか、と腹をくくっています(笑)。

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自分のためではなく次世代のために

 以上が伊藤さんへのインタビュー内容だ。インタビューの後、工場を見せてもらった。印象的だったのは、外国人の方も含む社員たちが例外なく「こんにちは!」と自然な笑顔であいさつをしてくれることだ。伊藤さんとは冗談交じりで会話をする社員も多く、真剣ながらも和気あいあいとした雰囲気の会社なのだとわかった。伊藤さんの愛情が会社の隅々にまで行き渡っているのだろう。

 20代の頃は「自分の好きなこと」を追求していた伊藤さん。亡き父が築いた会社が倒産の危機を迎えたとき、社員とその家族を守るために自己破産を覚悟して社長になることを決めた。

 未来のために今できることをやりたい。次世代につなげていきたい――。そんな気持ちで仕事を選び、精進を重ねていく天職の形もあるのだ。

phot 会社を案内してくれた(右は筆者)
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著者プロフィール

大宮冬洋(おおみや とうよう)

1976年埼玉県所沢市生まれ、東京都東村山市育ち。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。2012年、再婚を機に愛知県蒲郡市に移住。自主企画のフリーペーパー『蒲郡偏愛地図』を年1回発行しつつ、8万人の人口が徐々に減っている黄昏の町での生活を満喫中。月に10日間ほどは門前仲町に滞在し、東京原住民カルチャーを体験しつつ取材活動を行っている。個人のいまを美しいモノクロ写真と文章で保存する新サービス「ポートレート大宮」を東京・神楽坂で毎月実施中。著書に、『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる〜晩婚時代の幸せのつかみ方〜』(講談社+α新書)などがある。 公式ホームページ https://omiyatoyo.com


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