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» 2018年11月01日 06時30分 公開

小さな段ボール工場が変えた避難所の光景社長の思い(3/6 ページ)

[橋本愛喜,ITmedia]

避難所・避難所生活学会の立ち上げ

東日本大震災時の支援活動の中で、日本の災害現場の実態を知った水谷氏は、ある行動に出る。「学会の立ち上げ」だ。

Jパックスの水谷社長 Jパックスの水谷社長

 「新潟大学の榛沢和彦医師や石巻赤十字病院の植田信策医師など、多くの有識者の方と交流を深める中で、床の上に直接寝る雑魚寝が、ストレスや冷え、不眠、運動不足などの原因になり、その結果、エコノミークラス症候群や、長期間寝かされた状態などによって起こる廃用症候群などの二次的な健康被害を誘発することを再認識しました。しかし、当時の避難所では、雑魚寝が一般的。その危険性に対する知識も対策も、全く追いついていなかった。そんな折、日本には“避難所”を検証・研究する学会がないことに気付いたんです。災害大国日本の今後を考えると、是が非でも必要な組織なので、ないものは作るしかない。こうして、出会った有識者の方々に声を掛け、彼らとともに『避難所・避難所生活学会』を立ち上げることになりました」

 避難者が床に雑魚寝をする景色を変えたい。こうして誕生した同学会は「ストップ・ザ・雑魚寝」をスローガンに、段ボールベッドの普及や、避難所の二次災害ゼロを目指して動き始める。

 しかし、その普及活動は、なかなか順風満帆とはいかない。段ボールベッドが認知されていない避難所では、うまく活用されなかったり、時には前例がないと提供さえ拒まれたこともあったという。

 「雑魚寝の危険性を指摘しても、畳や布団に寝る日本の文化的背景から、ベッド導入に難色を示す自治体も数多くありました。しかし、これは大きな誤解で、畳や布団は“土間”には敷きません。座敷や寝床に敷くんです。竪穴住居に暮らしていた縄文人でさえも、住居内にわざわざ一段高い寝床を作っていたのに、どうして現代人の我々が地べたに雑魚寝をしなければならないのか。段ボールベッドが受け入れられなかった時は、それはもどかしかったですね。しかし、東日本大震災以来、段ボールベッドを使用した避難所でのエコノミー症候群発生率の低さがデータとして徐々に表れてきたことで、近年の避難所の景色は、少しずつではありますが変わってきている気がします」

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