東京・日本橋のほど近く、問屋が軒を連ねる小伝馬町。ある裏通りを歩くと、風情感じる建物の1階窓から水色のクルマが顔をのぞかせている。rimOnO(リモノ)というベンチャー企業が開発した超小型電気自動車である。
全長2.2メートル、全幅1.0メートル、全高1.3メートルというコンパクトなサイズ感に、布製のボディが特徴だ。この会社の社長は元経済産業省の伊藤慎介氏。新卒から15年間勤めた経産省を飛び出して、2014年に創業した。
16年5月にプロトタイプ「rimOnO Prototype 01」を完成させ、多方面から脚光を浴びたが、今、大きなカベに直面している。
いまだ国の法制度が整備されず、このクルマを公道で自由に走らせることができないのだ。顧客からのニーズはあるのに、売りたくても売ることはできない。
市販できない期間が長引けば、当然、投資回収のめどが立たなくなるため、エンジェル投資家などの出資者に頭を下げ、今年春にクルマの開発を休止した。現在は、クルマや鉄道、バスなどあらゆるモビリティを連携して移動の利便性を高めるサービスである「MaaS(Mobility as a Service)」やスマートシティなど、小型電気自動車にかかわる周辺領域の推進に注力し、近い将来の実用化、ビジネス化に向けて日夜奮闘している。
「これをやりたいという情熱はとても大事です。けれども、それだけでは物事はうまくいかないことに気付かされました」
まさに今が正念場で、かつてないほどの苦境に立たされているが、伊藤氏の表情は決して悲観的ではない。そのモチベーションの源泉とは何なのか?
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