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» 2018年11月01日 06時30分 公開

小さな段ボール工場が変えた避難所の光景社長の思い(6/6 ページ)

[橋本愛喜,ITmedia]
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被災地へ向かわせるもう1つの思い

 電話口で聞く水谷氏の避難所生活者への思いに、こちらも終始胸が熱くなる。彼を現場へ突き動かすのは、実はこのほかにもう1つ、ある目標があったのだ。

 「段ボール業界の地位向上です。業界従事者に、自分たちの仕事に誇りを持ってもらいたいというのも、活動の大きな原動力になっています」

 新たなものを生み出す機会のない業界全体のほこり臭いイメージに、水谷氏自身も会社を引き継いだ当初は面白みを感じていなかったという。

 「段ボールの製造というと、とかく地味な業界と思われます。リサイクルにリサイクルを繰り返し、主役はいつも『中身』。包装に使われる段ボールは、一生主役になれない万年脇役の身ですから。でも、そんな段ボール1つでも、被災者の笑顔につながること、小さな町工場でも社会貢献ができることを、業界全体で共有したい。こうした思いから、ベッドの設計図は、善意ある同業者にも無償で提供しています」

 JパックスのWebサイトに掲げられた企業理念の一節には、こうある。「最大限の成果を出して皆で分けあう会社にする」。1時間の電話取材をひと言で表したその力強い言葉に、社会貢献の名の下においては、大きい会社も小さい会社もないことをつくづく感じさせられた。

著者プロフィール

橋本愛喜(はしもと あいき)

大阪府出身。大学卒業後、金型関連工場の2代目として職人育成や品質管理などに従事。その傍ら、非常勤の日本語教師として60カ国4000人の留学生や駐在員と交流を持つ。米国・ニューヨークに拠点を移し、某テレビ局内で報道の現場に身を置きながら、マイノリティにフィーチャーしたドキュメンタリー記事の執筆を開始。現在は日米韓を行き来し、国際文化差異から中小零細企業の労働問題、IT関連記事まで幅広く執筆中。


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