#SHIFT

ジオンの国力増強策から我々が学ぶこと元日銀マン・鈴木卓実の「ガンダム経済学」(2/6 ページ)

» 2018年12月19日 06時30分 公開
[鈴木卓実ITmedia]

過去の成功にとらわれない柔軟な思考

 前に述べたが、現代では、資源が豊富な国の企業ほど、当座の売り上げに安穏として安かろう悪かろうの汎用品を作り、高付加価値品を製造しないことが多い。産油国で石油化学製品の製造技術が高い国は少ないし、他の多くの鉱物資源にも当てはまる。

 ジオンは地球連邦からの独立を果たすために軍事力を求め、目線を高く持った。その結実こそが、ミノフスキー博士によるミノフスキー粒子の発見とMSの開発であり、資源と軍事力が絶妙にリンクしたのである。

 また、ビーム兵器を防ぐIフィールドや、フラナガン博士による脳波を利用したサイコミュ兵器の開発も地球連邦に先んじた。MSでの成功体験があるにもかかわらず、人型の形状にこだわらないMAの開発にも注力する思考の柔軟性がある。

 ニュータイプ研究の過程で、医学や薬学、バイオテクノロジーの進歩もあった。ネオ・ジオンによる強化人間「プルシリーズ」の開発は、その極みとも言える。人口で圧倒的に劣っているからこそ、技術開発しか勝利への道はないと、割り切った判断ができたのだろう。

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