独裁政権で攻めの組織は出世が早くなる。独裁下では、先例や手続きではなく、トップダウンによる人事が可能になるし、MSによる急襲を軸とする戦闘では個人の技量が色濃く反映されるため、個人の功績が評価しやすくなるからだ。
ホワイトベースが逃避行を続けたため、地球連邦軍が劣勢のように見えてしまうが、オデッサやソロモンでの戦いに見られるように、地球連邦軍の物資は豊富である。物量にモノを言わせての飽和攻撃作戦では、個人の功績を評価するような人事制度をとりにくい。戦場よりも、武器や食料を滞りなく輸送するロジスティックスの能力が評価されることもあるだろう。実際、補給部隊を率いたマチルダ・アジャンは若いながら中尉である。
議会制民主主義政府の軍である地球連邦軍においては、戦時特例が認められる範囲もあらかじめ明文化されていたと考えられる。制度に則って、人事を評価する仕組みがなければ、どのようなエースパイロットが誕生しても、極端な出世は望めない。
地球連邦軍のエースパイロットで、MSを100機撃墜したと言われるアムロ・レイが尉官に過ぎなかったのは、制度上、やむを得なかったのだろう。ちなみに、アムロは第二次ネオ・ジオン抗争で資源衛星アクシズの地球落下を食い止めた際に、戦闘時行方不明(事実上の死亡認定)になり、戦後、二階級特進で中佐になる。
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