北海道に新たな観光列車時代が到来する。2月12日、JR北海道は、JR東日本、東京急行電鉄、JR貨物と協力して道内に観光列車を走らせると発表した。2019年夏にJR東日本の観光車両「びゅうコースター風っこ」を宗谷本線で運行。20年夏には東急電鉄が子会社の伊豆急行の観光車両「THE ROYAL EXPRESS」を運行する。
この話はNHKが1月24日にスクープしていた。東急電鉄の「THE ROYAL EXPRESS」を20年までにJR北海道で走らせるという内容で、JR北海道の経営立て直しの一環だという。北海道に関心のある人々にとっては、東急の観光列車が北海道を走ることに驚いただろうし、「THE ROYAL EXPRESS」は観光列車のヒットデザイナー、水戸岡鋭治氏が手掛けた列車だと知って、大きな期待を抱いただろう。
その一方で、鉄道ファンたちはざわついた。常識で考えれば「THE ROYAL EXPRESS」は北海道では走行できないからだ。
「THE ROYAL EXPRESS」は直流電化区間用の電車である。しかしJR北海道には直流電化区間はない。札幌を中心とした交流電化区間と、その他広大な大地に広がる非電化区間しかない。NHKを追うようにして、翌日の北海道新聞は「新たに製造する豪華車両の運行を検討している」と記した。ああ、なんだ。「THE ROYAL EXPRESS」というブランドで、新しい車両を作るわけだな、と思わせた。しかし共同通信は明確に「THE ROYAL EXPRESS」の車両を走らせると報じた。
12日の正式発表で全てがハッキリした。NHKと共同通信が報じた通り、「THE ROYAL EXPRESS」そのものをJR北海道に持ち込んで走らせる。輸送はJR貨物が担当する。だから報道発表にはJR貨物が加わっている。経営難のJR北海道の活性化に貢献しようというわけだ。JR貨物としては、JR北海道の線路を借りる形でJR貨物列車を運行しているため、JR北海道の経営問題については当事者でもある。
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