保守担当も運用指令も決して安全を軽視していたわけではない。起きている異変に対してしっかりと対処をしようと、それぞれの立場に基づいて見解を述べあっている。
が、ともに優秀な組織人だけに、「できることならダイヤを乱したくないよなあ」という「空気」を瞬時に読んでしまう。「今すぐ止めて床下点検しよう」の一言をグッと飲み込んで、「ダイヤを乱す」という重大な決断を無意識に避けてしまっているのだ。
ともに決断を避けるということは結局、「誰も判断をしない」ということでもある。
この構図を分かりやすく言うと、野球の試合で、フライを野手のどっちが捕るか「お見合い」をして結局、どちらも動かずポテンと落ちてしまうあの現象とよく似ている。
(写真提供:ゲッティイメージズ)
事実、運輸安全委員会の報告書の中にも、「異音、異臭等を認めながらも運行を継続した要因」として、こんな指摘がある。
「指令員は、車両保守担当者社員が車両の専門技術者であることから、本当に危険であれば走行に支障があると伝えてくると思っており、一方で、車両保守担当社員は、車両の床下点検実施の判断を指令に委ねていると認識していたことから、指令員と車両保守担当社員は、列車の運行継続の判断を相互に依存していた側面があったことが関与したものと考えられる」
要するに、「本当にやばかったら、向こうから何か言ってくるだろ」とどっちも思っていたと言うのだ。
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