ここで整理しておくと、今回、この問題の対象となっているのは、コンビニ加盟店で働く従業員ではなく、加盟店経営者という立場の人たちだ。従業員の方々は、労働法の対象であるため、問題が起こった場合には、法律にのっとった解決の道があるが、加盟店経営者はその枠外だ。なぜコンビニ加盟店経営者にこうした問題が生じるのか。そもそもコンビニ以外の小売業の店舗は直営店方式が主流であるのに、コンビニだけがほぼFC店によって構成されているのはなぜなのか、少し昔の話を振り返ってみよう。
1970年代頃から、コンビニは、その代表格セブン-イレブンの名の通り、朝7時から深夜11時まで開いている早朝深夜に便利な店として世に広まっていった。当初は24時間営業を前提とはしていなかったが、それでも16時間は営業していたので、直営店で社員に早朝深夜の割り増し賃金を払って仕事をしてもらうやり方では採算が厳しいことは明白だった。 コンビニ本部がそこで、目を付けたのが、当時、既にスーパーなどのチェーン店に押されて経営が苦しくなっていた零細小売店(食料品店、酒店、よろずやなどの独立個人経営のお店のイメージ)である。
既に自分の所有する店を営業していたので改装費だけで店舗を確保することができ、商人としての経験も持っているので接客経験も豊富、その上、業績が低迷していたため、何か新しい商売を始めなければ生きていけないといった危機感も強い。こうした零細小売業に加盟店として転換してもらうことで、初期のコンビニのFC店舗網は広がっていった。
コンビニというチェーンに転換するということは零細小売店にとっても、メリットは大きかった。個人で店を運営する際には、商品選択、仕入の仕方、物流、お金の管理などについて全て、自らの経験と判断によって行わねばならなかったのが、コンビニでは本部が基本的なインフラと情報を提供してくれるため、経営に失敗する可能性が圧倒的に低くなった。特にコンビニの競争相手が個人商店であった時代には、その差は歴然としており、コンビニに転換した加盟店は順調に業績を伸ばすことができ、収益も十分に確保できたようだ。
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