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» 2019年05月09日 08時00分 公開

ジャーナリスト数土直志 激動のアニメビジネスを斬る:ディズニー、Hulu…… 動画配信の覇権争いは日本アニメをどう変えるか (3/7)

[数土直志,ITmedia]

Disney+は日本アニメに無関心? 

 グローバルな戦略を見据える「Disney+」の動きは19年下半期以降、かなりアグレッシブになるだろう。日本アニメ業界にも、何らかの影響があるかもしれない。

 というのも先行するNetflixとAmazonプライム・ビデオが、過去数年で日本のアニメ業界に大きなインパクトをもたらしたからだ。両者は日本アニメの配信権を大量に購入しており、そのライセンス料の支払いが、今や日本のアニメ業界に無くてはならない。10年代の日本アニメビジネスの拡大は、米国と中国の映像配信ビジネスの成長に負うところが大きかった。

 お金だけではない。両社の持つ巨大なネットワークは、世界での日本アニメの視聴者を飛躍的に増大させた。日本アニメファンの拡大にも一役買う。カルチャー面での影響も無視できない。

 それでも世界でアニメーションの王様と言えば、ディズニーだ。ディズニーの映像配信本格参戦で、日本アニメはさらに世界に広がるのか、圧迫されるのか。

 しかし今回の発表では、どうもDisney+の全体戦略に日本アニメの入る余地はあまりない。Disney+の狙いは、ディズニーグループの有料コンテンツの囲い込みに映る。今回明らかにしたラインアップでは、ディズニーの4スタジオと21世紀フォックス以外の作品に言及していない。他社作品の配信や、他社スタジオでの新作製作は無い。

 つまりNetflixからの引き揚げも含めて、「自社作品を外に出さない代わりに、他社作品も中に入れない」。それがDisney+の狙いといった印象だ。確かにそれだけでも十分なくらいグループの作品群は魅力的である。

 もともとディズニーは、ハリウッドの中では日本コンテンツに関心が薄い企業だ。NBCユニバーサルやワーナーは、日本法人で既に何本もの日本アニメを製作している。近年再び盛んになってきた日本アニメ、マンガ、ゲームの実写映画化でも、ワーナーでは『名探偵ピカチュウ』、パラマウントでは『ゴースト・イン・ザ・シェル』といった名前は挙がるが、ディズニーについてはほぼ皆無だ。

 日本カルチャーに興味がないわけでない。14年に世界的大ヒットになった『ベイマックス』の主人公は日系の少年ヒロ・ハマダで、映画の至るところに日本カルチャーへのオマージュがあふれていた。しかし、それでも日本のアニメ作品と直接の関わりがある訳ではない。

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