―――そういう話を聞くと、実は「多様化」という言葉は耳にするようになりましたけど、実際に社会は多様化していないのではないかとも思われます。
多様化していないと思いますね。インターネットがそれを止めている感じがしますね。意見がインターネットによって一つになってしまうので。
例えば、変なことをしたら10人中一方に9人いて、一方に1人だったらインターネットは1人の方をたたくわけじゃないですか。「じゃあ1人の方は行っちゃだめだよね」ということになって、結局みんな9人の方に行っちゃいますよね。
インターネットさえなければ、もうちょっと多様性があったと思うんですけどね。おのおのが動けていたんですけど、人より目立ってしまうと全員でたたくので、「目立ったら損」みたいなことになってしまいます。でも、捉えようによっちゃ、マイノリティーをたたきつぶす社会って、挑戦者からすると、こんなにありがたい状況はないと思うんですね。
――ありがたい、とは?
はい。例えば僕には「アンチ西野」といわれる取り巻きがいて、彼らは僕のやることなすことを次々にバッシングしていくんですね。このエネルギーというのは非常に有効活用しやすくて、基本、僕は自分へのアンチコメントをリツイートするようにしています。
――どういうことですか?
えっと、具体例をあげると、僕、25歳のときに芸能村を飛び出したんです。そうするとすごくたたかれるんですよ。「テレビ出ろよ」「ひな壇出ろよ」と。別に人様に迷惑を掛けているわけじゃないんですが、すごくたたかれました。
そんなバッシングの中、僕は誰もいない荒れ地を耕すわけですが、4年たっても5年たってもバッシングはなくならないんですね。「ずいぶんみんなたたいてくるな〜」と思ったときにハタと気付くわけですよ。周囲を見回してみると、僕の競合が生まれていないんです。
――なるほど!
普通5年もいたらライバルがいてもおかしくないんですよ。ところが「あそこに行ったら西野みたいにたたかれる」ということを日本中が認知して、「あそこに行ったら損するぞ」となっていたので、いつまでたっても競合が生まれない。そのことに気づいて、すぐスタッフに「とにかく僕への悪口を片っ端からシェアしてくれ」と言いました(笑)
競合が生まれないので、かなり都合の良い状態で町を作れるので、水道も引けているしガスも引けているし電気も引けているし、インフラが整って町ができあがりました。すると芸能村の方から出てきて、「何か西野の周辺が良い感じだね」ってことで、こっちの方に来て「西野入れてくれよ」って言ってきたときには「ああいいですよ。入ってください。その代わり家賃だけは払ってくださいね」と言ってみました。
ブルーオーシャンの時間を長くするために、アンチの声はシェアした方がいいです。ゆっくり開拓ができるからですね。
あとは、アンチは感情で言っていて、論理が全て破綻しているので、それをシェアしたら、「西野のアンチはアホなんじゃない?」ってことになるという利点もあります。いろんな意味でアンチコメントはシェアした方がいいですね。
――西野さんは非常に冷静にバッシングを捉えているのですね。
自分たちの活動を最大化しようと思ったら、自分のファンというか応援してくれる人だけでは、エネルギー量が不足しているんですね。本当は、西野の悪口サイトを作って、そこにバナーを貼ってその広告費を活動費に回そうかとも考えましたけど、さすがにやりすぎかなと(笑)。
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