しかもテスラの最初の製品「ロードスター」は、クルマを構成する重要要素を全部ありもので調達してみせた。ロータスからエリーゼのアルミシャシーを買い、三洋電機のごくありふれた乾電池型汎用電池「18650」を採用して大量搭載した。
テスラのロードスター。2010年当時、提携していたトヨタの豊田章男社長にキーを手渡すイーロン・マスク(写真:ロイター)
爪に火をともすように電力消費を削り、軽量な専用電池を開発することばかり考えていた自動車メーカーのエンジニアが思いもつかない方法で商品を企画してみせた。それは誰の目から見てもコロンブスの卵であった。
このように技術障壁の低い部品のみで、魅力ある製品を企画してその発想力を示したのみならず、電池の大量搭載でハイパワーを実現して、「EVは鈍臭い」というイメージを鮮やかにひっくり返した功績は大きい。このロードスターの登場で、市場も業界も、日の目を見なかったEVの可能性を再発見したのだ。
テスラの進撃は続く。リーマンショックで米国のビッグ3(GM、フォード、クライスラー)がエンジニアを大量放出した時に、重要な技術を持つエンジニアを一気に確保して、シャシーを内製化した。そうして生まれたのがModel Sだ。
さまざまなエレクトロニクス仕掛けのギミックの新鮮さと、セダンとしては類例を見ない加速力によって、Model Sは新たなマーケットを切り開いて、テスラとEVの新たな地位を築き上げた。
次にこのModel Sをベースに売れ筋のSUVタイプ「Model X」を開発して売り上げをさらに伸ばした。
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