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大前研一が「年金2000万円問題」を斬る! 終身雇用「崩壊」時代はこう乗り切れ勉強しない日本人に喝!(4/6 ページ)

» 2019年07月31日 05時00分 公開
[田中圭太郎ITmedia]
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日本のビジネススクールがダメな理由

――社会人が学び直そうと思っても、日本の大学院やビジネススクールでは費用が高く、かといって大前さんが必要だと訴えるスキルが学べるのかどうかも疑問があります。 

 確かに日本の大学には適した教員があまりいません。日本のビジネススクールは、ハーバード大学が20年前に使ったケーススタディーを、いまだに平気で教えているところもあります。ポラロイドとコダックの戦いとか(笑)。毎年同じ授業をしても、学生は毎年変わるので勉強になると思うのでしょうが、ケースが古すぎます。アメリカのビジネススクールで学んできた人にとってはお笑い種でしょう。

――アメリカのビジネススクールでは、学生はどのようにして学んでいるのでしょうか。

 私はスタンフォード大学で教えていましたが、スタンフォードの場合は大企業に勤めているような学生はいません。自分で起業するか、起業したばかりの会社に勤めている人ばかりなので、新しい知識を豊富に持っていて、古いケーススタディーが通用しないのです。「その会社はもう潰れていますよ」「こっちのケースを調べた方がいいですよ」と学生から指摘されます。

 それくらい学生が優秀なので、3人の学生が集まれば、1人の教員が教えるよりも、優れた学びができるという状況です。私のようにグローバル経済の分野なら、経験がものをいう部分もありますが、ITやハイテク関係はもう教員が学生に教えるのは不可能でしょう。

――先生が教えるのではなく、学生と一緒に答えを探していく、というイメージでしょうか。

 日本では、学生は先生の話を聞くものだと考えられています。しかし、先生という言葉に問題があります。中国語で先に生まれた人、という意味ですが、先に生まれた人がこれからの仕事に必要なことを知っているわけがないですよね(笑)。むしろ、21世紀には役に立たないことをたくさん蓄積している。いわば「ゴミ溜め」ですよ。

 デンマークでは、先生、teacherという言葉を使うことを、90年代の半ばに禁止しました。teachは答えがあるという意味。21世紀は答えのない時代なのに、先生が答えを知っていて教えるというコンセプトは間違っていると判断したのです。

 デンマークは1クラスが26人のケースが多いのですが、学生が26人いれば、26通りの答えが出てもいい。そこから議論してみんなで答えを見つけていく教育に変わりました。その中で先生はファシリテーターという名前に変わっています。

 日本では、大学の先生は教授になると、もう一生安泰だと思ってあまり勉強しません。政府の審議会みたいなものに呼ばれて、偉そうなことを言って人生を終わります。学生から見れば迷惑な存在です。先生という言葉を警戒しないといけません。

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