社員の「やりたい!」を推奨するというのは、米国でメジャーなジョブディスクリプションの文化とは真逆の雰囲気だ。ジョブディスクリプションは、「仕事をキチンと定義して、決められた仕事をちゃんとやる」という考え方である。自分の仕事以外は基本的にはやらない。仕事が終わったらさっさと帰る。――そんなドライな雰囲気とは全然違う。
QOWLの5社中4社は米国由来の企業なのに、なんだか面白い。
ジョブディスクリプション文化から見ると、余計な行動をしているように見えるかもしれないが、一見、余計に見える行動をすることで、疲れるどころか、むしろエネルギーがみなぎる感覚がある。社員の「あ、こんな事やってみたい」という気持ちを大事にすることで、活動エネルギーが高まり、エネルギッシュでハリのある会社ができてくる。
「やりたいことを、自由にやる」ことが、人間がエネルギッシュに、幸せに活動する上で欠かせないのだと思う。だから、社員がやりたいことを自由にやれる環境、やることを後押しできる環境が重要だ。
私が所属するケンブリッジの「37の経営方針書」には、「言い出しっぺ優遇」という項目がある。手を挙げた人、言い出した人を全力で応援する方針だ。やはり、自ら積極的に動いている人ほど、どんどんエネルギーを増していっている気がする。
次に、「社員の『やりたい!』を推奨し、サポートする環境を維持する」ための各社の仕掛けを見てみよう。
朝から1日、有志で企画を練り、夕方に経営陣にプレゼンする。その場で「Go/No」が即決まり、予算も付く仕掛けだ。スピード感を大事にしたいケンブリッジにはピッタリの施策だと思っている。
企画書などは粗くていい、さっさとやってみよう!、というわけだ。もちろん「No」になる企画も多いけれど。
このワークアウト自体が、とある社員が言い出して始まった制度でもある。
本業のコンサルティングサービス以外で何かやりたいことがある場合、「プラスワン制度」を使う社員も多い。宣言すれば20%を本業以外に充てられる。コーチングを勉強する人もいれば、ITソリューションの研究をする人もいる。もっとも、この制度を使わずに勝手にやっている人も多い。
コンカーでは、「タスクフォース」という仕組みがある。年に1度タスクを立ち上げ、有志を募る。集まった人たちは完全にボランティアだが、会社が活動を全面的にバックアップするのだ。基本的には1年くらいの単位で動いているらしい。
誰でもいつでも「Slack」でチャンネルを立ち上げ、プロジェクトを始めることができる制度。オフィス環境改善や採用サポート、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みなど、やりたいことを投稿して、一緒にやりたい人が集まったらプロジェクト化して進めていく仕掛けだ。
freeeは、ある意味もっとざっぱというか、自由だ。文化として徹底している。freeeの社内でいろいろな人に話を聞くと、みんな「勝手にやる」と言っている。彼らの文化である「アソビゴコロ=真面目にふざける」が浸透しているからなのだろう。
“勝手にやっている人”を、「いいね! 面白そうじゃん!」と、自然とサポートする形が作れているのだ。
さて、あなたの会社ではどうだろうか? どんな状態で、何が不足しているだろうか? 自社の状況を客観的に見つめるために、自問自答リストを作ってみた。考えるきっかけになれば幸いだ。
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