クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向
連載
» 2019年09月09日 07時00分 公開

池田直渡「週刊モータージャーナル」:EVにマツダが後発で打って出る勝算 (2/7)

[池田直渡,ITmedia]

 一方日本のエネルギー自給率はたった8%。これにノルウェーと同じ処方箋を書くようならその医者はヤブ医者だ。心肺停止状態にある患者にAEDが効果があるからといって、微熱で来院した患者にまでAEDを使われてはたまらない。大は小を兼ねるわけではないのだ。

 世界各国は、それぞれに異なるエネルギー事情、環境事情がある。その違いをしっかり考慮して、それぞれ最適なソリューションを用意しなければならない。科学的思考能力があれば「EV以外は必要ない」などという万金丹思想には至らないはずである。マツダはこれまでも「EVが要らない」などとは一言もいっていない。「内燃機関“も”大事でしょ」といっていただけなのだが、いつのまにやらそれをしてアンチEVと思っている人が多い。

各国のCO2排出量規制の動向(マツダ資料より)

 エネルギー事情、環境事情だけでなく、経済力の個人差も大きい。グローバルにマーケットを見れば、顧客の購買力はさまざまであり、クルマへの支出を考える時、「100万円は出せない」と感じるユーザーもいれば、「1500万円以下の安物になんか乗りたくない」というユーザーもいる。多様なのだ。

 もちろんその間にもさまざまな事情の人がいる。例えば日本の多数派は「どんなに頑張っても300万円が上限」という人が多い。プリウスが普及したタイミングも、価格が250万円を割って、乗り出し300万円を切った時だ。現在の日本の平均的ファミリーカーになっている5ナンバーミニバンだって、同じく250万円を切っているからあれだけ売れる。

 いくら素晴らしいソリューションでも、その国の顧客の平均的購買力を超えた価格では普及しない。だからこそマルチソリューションが必要なのだ。しかもマクロに見れば購買力が低い方が圧倒的に数が多い。つまり「安価な環境技術」なくしてグローバル全体の環境対策はできない。だからマツダは新興国を中心とした「多数派のための環境負荷が低い内燃機関」に力を入れてきた。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ

ITmedia 総力特集