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ホリエモンが斬る! “予防”というインセンティブなき「国民皆保険の欠陥」堀江貴文が語る「予防医療」(1/7 ページ)

» 2019年10月12日 05時00分 公開
[田中圭太郎ITmedia]
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 予防医療について啓発し、病気を予防する具体的なアクションを行なう一般社団法人予防医療普及協会の「予防医療オンラインサロン〜YOBO-LABO」会員限定トークイベントが、2019年8月22日に東京都港区のDMM本社で開催された。

 協会の理事を務めるホリエモンこと堀江貴文氏と、同じく理事で産婦人科医の三輪綾子氏が、糖尿病の専門医で医療スタートアップLinc’well代表取締役の金子和真氏をゲストに招いて、糖尿病の正しい理解と予防を広める方策を語り合った。

 前編の「ホリエモンが課題だらけの医療業界を斬る! 『大学の医学部で経営も教えるべき』」では、医療業界の問題点を指摘するとともに、一般の人が気づいていない糖尿病の怖さをレポートした。後編では堀江氏の国民皆保険への見解についてお届けするとともに、糖尿病予防につながるインセンティブの可能性を探る。

phot 堀江貴文(ほりえ・たかふみ) 1972年福岡県八女市生まれ。実業家。SNS media&consultingファウンダーおよびロケット開発事業を手掛けるインターステラテクノロジズのファウンダー。現在は宇宙関連事業、作家活動のほか、人気アプリのプロデュースなどの活動を幅広く展開。19年5月4日にはインターステラテクノロジズ社のロケット「MOMO3号機」が民間では日本初となる宇宙空間到達に成功した。2015年より予防医療普及のための取り組みを開始し、2016年3月には「予防医療普及協会」の発起人となり、協会理事として活動。予防医療オンラインサロン「YOBO-LABO」にも携わる。著書に『健康の結論』(KADOKAWA)『むだ死にしない技術』(マガジンハウス)『ピロリ菌やばい』(ゴマブックス)など多数(以下、撮影:高原マサキ)。
phot 金子和真(かねこ・かずま) 医師・医学博士。臨床医として東京大学医学部附属病院を中心に、医療現場で8年間働いた後、マッキンゼーに7年間勤務。医療現場の課題解決に向けて2018年にLinc’wellを創業。ITをフル活用した“次世代クリニック”ブランドの「クリニックフォア」をプロデュース。2018年10月に開業した東京・田町の第1号店舗は10カ月で3.1万人が来院。
phot 三輪綾子(みわ・あやこ) 産婦人科医。2010年札幌医科大学卒業。順天堂大学産婦人科学講座に入局。産婦人科専門医、検診マンモグラフィ読影認定医。医療記事の監修なども行う。2017年より順天堂大学非常勤助手として勤務。

国民皆保険の欠陥は「予防する、インセンティブがないこと」

堀江: 後編では、糖尿病の予備軍、それも重症化する可能性がある人たちが、自発的に予防に動いてもらえるような方策を考えたいと思います。パチンコ店に行くかわりに、病院に行くような(笑)。

三輪: 治療することのインセンティブ付けは大切ですね。日本の医療は、病気になった状態で医療費が一番使われていて、予防に使われていません。これでは駄目だと思うので、そういう人たちを少しでも病院に引っ張ってこられるようにはできないものでしょうか。

 病院では手術する際、BMIが35を超える病的肥満患者は、麻酔をかけることがリスクになります。そのため麻酔管理料金が重症加算されます。つまり、多めに医療費が用意されています。その状態になる前の予防にお金を使ってほしいですね。

金子: いまの話は医療費のインセンティブという視点ですよね。それとは別に、予防しないことや治療を受けないことが本人にとってデメリットになる設計が、一番健全だと思います。現実的にできるかどうかは別にして、太っている人に対して、このまま放置して糖尿病になったら保険料の負担額を増やすという方法はあるかもしれませんね。

堀江: これは政府の役割でしょうか。

金子: 基本的には政府。あるいは、民間保険会社。

堀江: でもこういう人たちは、保険会社に加入していないですよね。

金子: そうですね。

堀江: 政府の役割から考えると、僕は最近、日本の国民皆保険は本当に駄目だなと思っています。素晴らしい制度だ、みたいなことを言いますけども、国民皆保険だからこそできないことがいっぱいあります。まさに予防に力を入れるインセンティブがないのは、国民皆保険のおそらく一番駄目なところでしょう。病気になったら、何でも安く治療してくれる制度ですから。

金子: おっしゃる通りですね。病気にならないために努力するというインセンティブがないですね。アメリカは国民皆保険ではありませんが、医療費が高すぎてなかなか病院にいけないので、病気にならないように努力します。そういうコントロールを自分でする概念が日本にはないですね。

堀江: だからこそ、国民皆保険の仕組みの中で、血糖値が高いのにずっとほったらかしにしていたら、保険料がどんどんあがるみたいな設計にすればいいと思いますね。

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phot 予備軍も含めると日本人の6人に1人が糖尿病だという(金子医師の提供資料より)
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