さて、第7世代は高いか安いか、そしてマツダの戦略は大失敗なのかについて、筆者なりの考えをまとめておこう。
いまやCセグメントの価格は300万円が普通になりつつある。だからこそ、今や売れ筋は200万円で買えるBセグに移りつつある。「クルマに払うのは200万円くらい」という人にとっては高くなった実感は確かにあるだろう。
しかし世界はクルマの安全性や環境性能により高い水準を求めつつあり、それらの機能がタダで追加できない以上、車両価格は上がる。むしろマツダの場合、ブランド価値にうぬぼれられない自覚があるから、そういう見えにくい機能の向上についてただお金を取れるとは考えなかった。だからその分、静粛性の向上、オーディオ音質の向上、インテリアの質感向上の3つで埋め合わせる努力をした。そこを全部無視して金額だけで高いというなら、中身とのバランスはどうでもいい絶対価格だけの話になるのではないか?
そして、戦略の成否だが、これは非常に難しかった部分についてうまくいきつつある。ただし、限られた範囲とはいえ、商品の価値に対しての値段ではなく、絶対価格勝負のマーケットがあり、その影響で台数を減らしている。そのための出口は、再度値引きを始めることではないだろう。価値を評価してくれる人に対してしっかり訴求していくこと、つまりマツダの価値を認める層を増やし、そこで買ってもらうことだと思う。
→インタビュー第2弾 藤原副社長、ラージプラットフォーム投入が遅れる理由を教えてください
1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。
以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う。
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