クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

藤原副社長、マツダが売れなくなったって本当ですか?池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/6 ページ)

» 2019年11月25日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

 というのはどういうことか? ちょっと解説しよう。19年3月期の本決算発表において、マツダの丸本明社長は、インセンティブの増加で利益率を落としたことについて再三にわたって反省の弁を述べた。昨年のマツダは、北米でセダン販売の減速をカバーするために禁じ手の値引きを発動してしまったのだ。

 13年から始まった構造改革プランでも、17年から始まった構造改革ステージ2でも、マツダが必死に取り組んできたのはブランド価値の改善である。簡単にいえば値引きを抑制し、中古車価格を高く保つということだ。それだけ長いこと中核課題として取り組んできながら、19年の本決算で「また値引きをしてしまいました」と言うので、だとしたら一体一連の構造改革とは何だったのか? と筆者は思わざるを得なかったのである。販売奨励金、つまり値引きは麻薬である。「ダメ絶対!」と思ってもなかなか止められない。

マツダが成長戦略として掲げた構造改革プランと、次のステップとして取り組んだ「構造改革ステージ2」

 ところがそれからたった半年で、そこを改善して利益のポテンシャルを2倍まで躍進させてきたのである。もちろん北米で一度毀損させたブランド価値はそう簡単に回復しないので、先行してブランド戦略が成功している日本の利益が、北米をカバーしたと考えるのが妥当だろうが、それでもトータルで大きなプラスを稼ぎ出しているという意味では、筆者から見ると内容的に花丸級である。

 しかしながらマツダは運が悪い。せっかく胸を張れる結果を出した時に、向かい風の突風が吹いて為替差損でプラスが全部消し飛んだのみならず、後退を余儀なくされた。為替というのは天災のようなもので、これをうまく避ける方法はなかなかない。

 では藤原副社長はこれをどう受け止めているのだろうか? 筆者の「構造改革としては大成功と認識して良いのではないか?」という問いに対する答えはこうだった。

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