メディア
インタビュー
» 2019年11月26日 05時00分 公開

『¥マネーの虎』生みの親が明かす! 難攻不落の社長たちを口説き落とした【準備ノート】のススメ人気テレビプロデューサー・栗原甚の仕事哲学(2/4 ページ)

[森永康平, 今野大一,ITmedia]

“虎”探しに活用した「RPDサイクル」と【準備ノート】

――『¥マネーの虎』に出演していた社長たちは、どのような基準で選んだのでしょうか?

 最初は、テレビでCMを流している大企業の社長に出てもらおうと思っていました。それこそソニーやトヨタ自動車などの一流企業ですね。でも、企画書を出しても全然返答が来ませんでした。300社ぐらい断られたんじゃないかな。なぜだろうと思い、いろいろと調べてみたら、あることに気づいたんです。「上場企業では株主の許可を取らずに、社長が自由に会社のお金を投資できない」という事実です。

 そこで方針を180度変えたんです。未上場企業で、ワンマン経営をしている社長を探し始めました。理想の“虎”は、会社の経営を1人で担い、決定権を持っている社長です。重要なのは、番組企画そのものに賛同してくれる社長を探すこと。とにかく社長は忙しい人ばかりですから、単刀直入に要点を伝えました。

 ちなみに、出演交渉の際に「ギャラはいくらですか? 交通費は出ますか? 宿泊費は出ますか?」などと聞かれた場合、僕は「今回の企画、社長には向いてませんね」と即答して、こちらからお断りさせていただきました。そもそも『¥マネーの虎』は、お金を投資する番組です。ギャラがもらえるかを聞いてくる社長はスケールが小さ過ぎるので、この企画にはまったく合いません(笑)。

phot

――しかし、ノーギャラで出演してくれる社長を探すのは、相当大変だったのではないでしょうか?

 はい、もし番組を見てもらえれば「この番組に出演したい!」と思うかもしれません。でも、まだ番組が放送されてないので、なかなか理解してもらえない。だから番組の立ち上げ時期が、一番苦労しました。社長に、僕が頭の中でイメージしているものを、いかにうまく伝えるかがポイントでした。

 あと、絶対に諦めないという気持ちも大切でしたね。番組がヒットしたとき、ある記者さんに「もしかしたら世界中を探せば、栗原さん以外にも同じような投資企画を考えた人がいたかもしれませんね。でも、最後まで諦めずに番組を実現させようと動いた人は、栗原さんだけだったんですよ」と褒められたことがあります。確かに、そうかもしれません。僕は、この番組を立ち上げるために3カ月以上、毎日毎日出演交渉をしていました。普通の人なら、1カ月くらいで諦めていると思います(笑)。

――交渉に向けては、どんな【準備】をしたんですか?

 よくビジネスでは「計画P」「実行D」「評価C」「改善A」というPDCAサイクルが大事だと言われます。でも僕は、交渉においては「計画P」の前に、入念な準備(Ready)が必要だと思っているんです。なぜなら重要な交渉は、一度失敗してしまうと、もう二度とチャンスが回ってきません。そう考えると、交渉では9割が「準備R」と「計画P」。残り1割が「実行D」。つまりRPDサイクルが、成功のカギだと考えています。

 僕は交渉を成功させるために【1冊のノート】に交渉相手(社長)の情報と自分の情報、そして「問題点」と「解決策」を徹底的に書き出しました。ポイントは、見開き2ページにまとめること。実際の交渉では、この【準備ノート】が大いに役立ったのです。相手に何をアピールすれば良いか、どんな懸念点があるのか、視覚的に整理された状態で臨むので、交渉という緊張する場面でも「突破口」を見つけやすかったからです。

 つまり「相手をいかにして口説けばいいのか」が一目瞭然になるのが【口説きの戦略図】です。当初は箇条書きにしたノートを見ると、社長にとって「デメリット」が圧倒的に多かったのですが、「メリット」に転換させてプレゼンし、出演交渉ができたので、難攻不落の社長たちを次々と口説くことに成功したんです。

phot 栗原さんが提案する「RPDサイクル」(『すごい準備 誰でもできるけど、誰もやっていない成功のコツ!』より)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセスランキング
  • 本日
  • 週間

    Digital Business & SaaS Days

    - PR -